第9話 真犯人
お洒落なリビングに集められた7人。
俺がお腹を下していた間にみんなはすべてが繋がったそうだ。
「すべてが繋がったので再確認などをするために説明させていただきます」
そういい彼は口を開いた。
今回は丸軸さんに変な音の正体を突きとめてほしいという事で来ました。
俺は最初、風鳴りか、野生動物だと思いました。
でも違ったんです。
確かに音の正体はトラツグミという鳥でした。
ですが、その鳥を呼ぶ原因を作ったのはあなたでした。
俺を見るソラくんはとても冷静だった。
「あなたはこの家を作るときに屋根裏に壁を作り、空間に木材などのゴミを入れていた。そうして、ゴミ処理代を安くしたんですよね」
俺の考えを見抜くように言う。
「あぁ。その方が家を作るときの代金が安くなるかなって思って」
俺が言うと郡谷さんは胸ぐらをつかんできた。
「俺がぁいつ教えたんだぁ。そんなことぉしてんずやぁないよお」
俺はなぜか面白くなってしまった。
「法律とかルールとか馬鹿にしてるんですよ。少しでも安くしていかないともうやっていけないんです。なのに、税金は上がるし、政治家は使えないし、俺たちが死ぬのを待ってるんだ」
「別にいいじゃないか。そのくらい。動物が来たら追い払えばいいし、みんなだってそうでしょ」
「バイトをしててあと数分で一時間立つなら何もしないでちょっと待つでしょ」
お金をもらうために小賢しい真似をしてるんですよみんな。
「あはは」
ソラくんは笑う。
人生はお金も大切ですけどもっともっと大切なものがあるんじゃないですか。
なぜ人は働くのか。
どうせ働くなら何で決めるのか。
「俺はラジオの仕事がとても楽しい。彼女がいるからかもしれない。こんな楽しいことをして好きな人と話が出来て普通に暮らせたらそれでいいじゃないですか。」
「じゃあなんでこの仕事をしてるんですか?」
急に疑問を振られ俺は黙り込んだ。
「わ、私は有名人に会いたいからアナウンサーを始めたんです。確かにつらかったこともあります。でも、そんなバカな思い出が意外とお金では買えないんです」
「俺ぇはお前にもよく言ったが、日本の家がぁ大好きなんだ。和と洋の入り組んだこの家が、完成した時のお客さんの嬉しそうな顔が、笑顔は金じゃ買えねぇ。ほんとの笑顔は自分が頑張ったからこそ見れるんだ」
何故か一人ひとり語りだした。
「お、俺は小さい頃から音楽とかが、大好きでした。だから最初は歌手になろうかと思ってたんです。でも、この音という目に見ることが出来ないものをもっと突き詰めたいって思ったんです。この業界に入ったら沢山俺と同じ考えの人が居ました。お金がないとダメですが、お金では買えない話が出来るんです。今の仕事がお金を貰えなくなっても俺はやりたいって思ってしまいます」
「えっと、はい、わ、私は、なぜ、弁護士になったって言うと、はい、そうですね、私の母が、無実の罪で捕まってしまったんです。知人が通り魔によって殺害されたのですが、私の母がそこに居て、刃物を渡されて、それで、母は20年の禁固刑になるはずでした。ですが、弁護士が覆してくれたんです。だから、私も助けようと思いました。人助けのためにやってます」
「そう。俺も人助けのつもりだったんだ」
彼女が言った人助けに助けられ言葉をつなぐ。
「だって安い方が嬉しいだろ」
「あなたが法律を守っていたら。きっと動物虐殺は起きなかったでしょう。あなたの判断で起きたんです。規則を守らないで起きたことは守らなかった人が悪くなるんです」
彼は最後にと
「あなたの小さい頃の夢は何でしたか」なんて優しく微笑んだ。
「俺は昔から作ることが好きだった。ブロックで家を作ったり、工作をしたり」
そういえば将来の夢は家具職人だったな
沢山家具を作ってみんなに沢山褒めてもらって。お前スゲーって天才だねってそう言ってほしかったんだ。ただ、褒めてほしかったんだ。お金なんていらない。そんな子供だったんだ。
変わっちまった。
「俺ぇどうすればいいんですか」
俺が聞くとソラくんではなく郡谷さんが口を開いた。
「お前はまだまだこれからなんだから俺と一緒に謝りに行こう。お前がやってきたお前の中での正解は今日で大間違いだってわかったんだろ。それだけで偉いじゃないか」
俺は首に力を入れた。
だってそうじゃないと視界を滲ませている何かが、頬に落ちてしまいそうだったから。
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