第4話 嵐山という人
誰だ、という言葉は、動揺を招くには十分すぎる言葉だった。
「入川翔也は、そんな弱い目つきをしない。瞳を見れば、人のなりなど見て取れる」
そもそも、いきなりクソ兄貴に入れ替わって、本人の真似をするなんてのが無理な話なのだ。
兄貴の情報が頭にインプットされているとはいえ、完全再現など、ままならない。
翔也と深い接点があるのなら、俺の異変など勘付いて当然といったところか。
「違和感があるとして、俺との関係になにか差し支えでもあるのだろうか?」
「おおいに。人間、性格に変化があれば、関わり方も自然変わってしまうからな」
そういう認識であれば、嵐山はこちらの事情を汲んでくれるかもしれない。
「俺の記憶に混乱が生じている、といったら信じるか」
「自己申告を疑ってどうする? 私を馬鹿にしているなら、後悔するまで締め上げるだけだ」
いいながら、強く拳を握ってみせた。
表情は固い。口調が平坦だ。
そこから、底の知れぬ恐ろしさを覚える。冗談のつもりなのだろうが、そのまま受け流すのは難しかった。
「冗談にしては、いささか物騒だ」
「本気だが?」
最低な兄に人格転移してから、俺の学園ハーレムが止まらない〜好感度が逆転した結果、モブ生活が終わりました〜 まちかぜ レオン @machireo26
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