第13話 マオの涙
翌日。
カーテンを開け、窓を開けると、俺は「いい朝だ!」と空に叫んだ。
朝食に昨日ミユキにもらったお菓子を食べて、着替える。
九時から開店なので余裕を持って、八時三十分に部屋を出た。
まだ九時になってないのに店内が騒がしい。しかし俺は「おはようございます」と普通に入ってしまった。
「誰だお前は!?」と銃口を向ける男。俺は両手をあげ「ここの店員だ」と応えた。レジ前にはタイガがいて、状況をうかがっている。
そこにマオが「おはよう」とタイミング悪く登場した。男は銃口をマオに向け「動くな!」と叫んだ。
レジからお金を取り出したタイガが「ほら、金だ」と言って、男が一瞬隙を見せた瞬間、タイガが男の腕に掴みかかった。
銃口が右へ左へ動く。そして最終的にマオに向く。男は抵抗し、トリガーをひいた。俺は咄嗟にマオを突き飛ばす。だがその銃弾は俺の腹部に命中した。
「くっ! っつう!」
腹部から大量の血が流れ出し、床を赤く染める。
「オーナー! 救急車と警察を!」
「わ、わかった!」
マオは急いで連絡し、タオルで俺の腹部の止血を開始した。
「死ぬな! 死ぬな! タクト!」
「マオ……マオは俺の愛した人に似ている……だから」
「タクト……タクトォ……」
マオの涙が俺の顔に落ちる。俺はマオの泣いている姿を最後に目を閉じた。
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