第11話 研修生
「ここはコンビニの店内ね。雑誌があり、飲み物があり、食べ物があり、その他いろいろあるわ」
「狭いのにいろいろあるな。さすがは便利な店、コンビニ」
次にマオはコンビニ裏に移動して、「これらのダンボールはお菓子や飲み物ね。飲み物の補充はここから」と言って、飲み物専用の冷蔵庫を見せてくれた。中はとても寒く、凍えそうだ。
飲み物専用の冷蔵庫の後は、タバコを置くロッカーに案内された。「タバコは貴重だからここに置いてあるわ。レジの後ろのタバコがなくなったらここから補充して」とマオは言う。
そして、発注用パソコンの操作、冬に使うあんまんや肉まんを温める機械、おでんを作る機械などを説明されて、ついにレジの説明が始まった。
「発注は主に私とミユキがやるけど、レジはタクトにもできるようになってもらわないとね」
そう言うと、試しに菓子パンひとつをバーコードリーダーでスキャンした。
ピッ。
レジには『あんぱん 1 100円』と表示された。
「後はお客様の出したお金を入力して、年齢層ボタンを押す。年齢層ボタンは適当でいいわ。で、この場合は100と入力して、20のボタンを押す。簡単でしょ?」
「まあ、できそうな気はするが」
「じゃ、実際にやってみましょう。ほら、お客様が来たわよ」
俺は、笑顔を作り「い、いらっしゃいませー」と言って、商品をスキャンしていく。と言っても、あんぱんと牛乳の二点だけだったが。
「合計で200円です」
お客様は財布から100円玉を二枚取り出し、俺に渡した。
「ちょうどお預かりします。レシートはどうしますか?」
「大丈夫です」
「ありがとうございましたー」
俺は一仕事終えると、マオに振り向く。するとマオは笑顔で親指を立てた。
「バッチリじゃない。初めてにしては上出来よ」
「あ、ありがとうな」
「これ、シフト表。この店は年中無休だけど、営業時間は九時から六時。だから基本的に週五の八時間労働ね」
「はいはい、わかりましたよ」
「明日から正式に入社ということで、今日のところはこれで終わり。帰っていいわよ」
「ん? もういいのか? じゃ俺は帰る。まだ本調子じゃないからな」
「その制服は自分のロッカーにしまっておきなさい。タクトのはね……ここ」
「お言葉に甘えて、制服は置いておくことにしよう」
「予備のやつはこれ。汚れたらこれを使って」
「はいよ」
俺は三時間ほどでコンビニを後にし、自宅アパートに帰った。
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