第10話 未来への希望




 エリーの夜泣きに目を覚ましたジョンは、マリーがエリーをあやしているのを確認すると、気分転換に外に出た。月がぼんやりと浮かんでいる。

「昔はもう少しハッキリと星も月も見えたんだが」

 地球の自然環境は、人間の科学により汚染されていった。木々は枯れ、空気は汚れている。動物もその生態系を破壊され、絶滅するものが後を絶たない。やがて人間は、火星や月に移住する技術を発展させた。だが地球に勝るものはなかった。つまり、火星や月は開発に時間がかかり過ぎたのだ。移住計画は頓挫し、地球の自然環境保全が叫ばれた。風力発電や太陽光発電など地球に優しい技術が次々と採用されたが、それでも地球環境はなかなか改善しなかった。

「ここ数十年でだいぶ変わったな」

 ぼんやりと黒い霧に包まれるような月を誰が望むのか。

 ジョンは自問自答した。ロボット社会は地球に優しいのか? それは俺達が作りださなければならない、と。

 急速に進むロボット開発技術は、ロボット業界に大きな影響を与えた。中には悪用されたケースもあった。ロボットの開発には正しい倫理観が必要で、それが無ければ人間は、いや地球は終わりを迎えてしまう。

「俺達が未来を創るんだ。子供達に幸せな未来を繋ぐんだ」

 ジョンは月明かりよりも、外灯が輝くことに違和感がわいてくるのであった。



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