第6話 重大責任



 翌日、会社では社員が忙しそうに動いていた。

 トントン。

 後ろから肩を叩かれたジョンが振り向くと、そこにはビズが立っていた。

「やぁジョン」

「おはようございます」

「調子はどうだい?」

「まあまあです。エリーの夜泣きで寝不足ですよ」

「そう言えば、祝福の言葉がまだだったな。おめでとう」

「ありがとうございます」

「微力ながら力になりたいと思ってね」

 そう言うとビズは、財布を取り出しお札を5枚、ジョンの手に握らせた。

「本当によろしいのですか?」

「もちろんだ。受け取ってくれ」

 子育てには何かと出費が多く、お金は有れば有るだけ良い。ジョンは快く受け取った。

「電子マネーの方が良かったか?」

「いいえ、こちらで十分です。ありがとうございます」

 ビズは踵を返すと「今日からロボット管理システムを開発する。ロボットの行動の基礎となるシステムだ。とても重要で金になる話だ。あのときはマリーがいたから救われたが、今回はそうはいかない。失敗すれば君の立場も危ぶまれる。慎重に進めてくれ。表面上の開発担当責任者はサラだが、主力は君だ、ジョン」と言ってその場を去っていった。

 入れ替わりにサラがやって来た。

「ビズと何を話していたの?」

「何でもないよ」

 ジョンはなんとなく先ほどの話の内容を隠した。

「そう。ま、いいわ。早速だけどジョン、ロボットの行動の基礎となる基幹プログラムを記述して欲しいの」

「任せて」

「よろしくね」

 ジョンはデスクに行く前に、コーヒーをカップに入れた。デスクでコーヒーを一口飲むと「さ、始めよう」と言って、プログラミングアプリケーションを起動した。



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