第2話 ビジネスマンのビズ
「やぁ、助かるよ、ジョン」
「いいえ、社員として当然です。それで何をすればよろしいのですか?」
困った顔をし、上司は一言述べる。
「プログラムの大規模修正だ。UIが悪いだの新機能はいらないだの、クレームが多くてね」
「それで会議でプログラムの大規模修正が決まったと」
「その通りだ。頼むよ、ジョン」
上司は笑顔になり、背中を向ける。そして去り際に「サラが力になってくれる。協力して頑張ってくれ」と残していった。
ジョンたちの上司、ビズはプログラマーではない。経営が専門でこの赤字続きの会社に上司としてやってきた。歳はあまりかわらないが、給料はジョンの倍はもらっている。表面上の人当たりは良いが、社員を解雇するときは容赦をしない。ジョンは内心少し怖がっていた。あの要求を断れば、ビズに解雇されるかもしれない、と。生まれたばかりのエリーを養うためには解雇はあってはならない。
苦虫を噛んでしまったような顔つきのジョンにサラは「調子悪そうね」と声をかける。たった一人の同僚のサラはいつもジョンを気にかける。「調子はどう?」「リラックス、リラックス」とジョンのペースを保つ、良い存在である。
「悪くはないよ。それより俺たちの他に10人。合計12人でプログラムの大規模修正を明後日までに行うのは少し無理じゃないかと思う」
「上の命令に逆らえると思う?」
「そりゃそうだな」
一瞬、二人は笑い合った。しかしそれは作り笑いを多分に含むものであった。
「さ、始めましょ」
「OK」
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