第4話聞き取り調査
「先崎様、ここは大人の対応で」
と、メガネの中年刑事は言った。
「あなたは、1,気の長い方、2、どちらかと言うと気の長い方、3、どちらでもない4,どちらと言うと気の短い方、5,気の短い方。どちらですか?」
私は、思った通りに、
「気の長い方です」
「オホンッ!番号で」
「1番です」
中年刑事は1に◯を付けた。
「では、あなたは……」
しばらく、質問が続いた。
「先崎様、結果が出ました。Fタイプですね」
「Fタイプとは?」
先崎は聴き返した。
「常に冷静沈着な人間だが、情に流され易い一面を持つタイプです。普通、このタイプは殺人事件を起こしません」
「すいません。刑事さん、今のは、心理テストか占いですか?」
メガネの刑事はため息をつき、これもマニュアルなんです。と説明した。
間もなく、自宅マンションに到着した。
付近には、パトカーが数台停まっていた。
「先崎様。今から、現場に行きます。お気をしっかりと」
「……はい」
2人の刑事は、私を連れて事件現場に向かう。
「吉田警部、被害者家族の方をお連れしました」
警部と呼ばれた、小太りの刑事は、
「先崎様この度は、とても残念な事で。警察の威信を掛けて、憎むべき犯人を逮捕します。先ずは、ご遺体の確認をお願いいたします」
警部は妻の刺殺死体を見せた。
これで、3回目だ。妻の死体を見るのは。
「ご主人、奥様でおかわりありませんね?」
「……はい、私の妻です。殺したのは私です
」
「な、なんだって!えぇ〜、ちょっと石田君どうなってるの?」
「あのう、珍しい事件で、マニュアルに追っ付かないんです」
「何だ?こんな時はどうするんだっけ?」
「これは、新規の事件では無く、警察がすでに取り扱っている案件として、署の受け付けで処理する事がマニュアルです」
2人の刑事は話しあっていた。
「あのう、そろそろ逮捕してもらえませんか?警部さん」
「そんな事出来ませんよ!お客さん。ちゃんとマニュアル通りに処理をしなきゃ」
「ですが、どうあがいても私が犯人です」
「はいはい、分かりました。パトカーで送りますんで、受け付けに申し出て下さい」
私は軽い目眩がした。
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