第3話捜査開始
私はアイスコーヒーを飲みながら、喫煙していた。
クリームソーダのアイスを口に運ぶ、メガネの中年刑事は、
「先崎様、少しは落ち着きましたか?」
と、尋ねながらアイスクリームと格闘していた。
「はい。私は妻を殺めてしまいました」
と、告げる。若い刑事はパフェを食べながら、話しを聴いていた。
「あの、先程から一貫してご自分が犯人だとおっしゃいますが、自首の手続きは取られましたか?」
「はい。先程の5番窓口で」
中年刑事は若い刑事に、
「林君、こんな場合、一体どんな手続きをすれば良いのか?」
「……先輩、私も初経験ですから。先ずは、被害者家族としての質問をされた方が」
「あの、クソ女、また、めんどくせー手続きをすっぽかして、俺達に回しやがったな」
「石田さん、ここは落ち着いて」
「これ、飲んだら、5番窓口に戻るぞ!」
「何故です?先輩」
「ちゃんと手続きして、こっちに回さないと動けねぇじゃん」
2人の刑事のやり取りを聴いていた、私は、
「あの、だから、犯人は私なんです。お縄を頂戴します」
と、両手を出した。
「早まらないで下さい。お客様」
「そうですよ!お客様は事件でお疲れのご様子です。先輩、僕はパフェ食べてから5番窓口に向かいます。お先にどうぞ」
「分かった。ちゃんと領収証もらうんだぞ」
「はい」
メガネの中年刑事は、ストローでメロンソーダをズズズッと音を立てて飲むと、私を連れて5番窓口へ向かった。
「おい、ババア!てめぇ、また、手続きを手抜きしただろ!」
と、中年刑事はオバサン職員に向かって言い放った。
「なんですって!私はマニュアルに沿って、事件を受理しただけですよ。後は、あなた達刑事の仕事でしょ?Мの5530項のマニュアルには、犯人が自首した場合、即座に刑事課に報告する義務があるのよ!」
「うるせぇ、殺したって言う証拠は写メじゃねえか!証拠にはならん。Rの230項に、証拠は目撃者か凶器、または、防犯カメラってあるじゃねえか!」
「何ですって!私のミスとでも言うの?石田さんは」
2人は口論を始めた。
「まぁまぁ、お二人とも冷静に。どちらも悪くありませんので」
そこへ、若い刑事がやってきて、メガネ刑事に耳打ちした。
「チッ!マジか?」
「はい」
「先崎様。今日、あなたのご自宅で奥様が何者かに殺害されました」
と、中年刑事は言った。
「だから、私が殺したんです」
「お客様、先ずはご自宅へ我々と向かいましょう。お気を確かに」
「……はい」
若い刑事が車を運転して、私と中年刑事は後部座席に座った。
「先崎様。ここは、我々を忖度して下さい。どうか大人の対応を」
「分かりました」
中年刑事は、マニュアル通りに聞き取り調査を始めた。
私は、悪い事をしたのだろうか?
2人の刑事は深いため息をついた。
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