再び彩られていく視界には。

「先輩、私が考えるにSFとオカルトには深い因果関係があると思うんですよ」


 急にそんなことを話し始めた。


「例えば、パラレルワールドという存在がなぜ認知されているのか。それはつまり、実際にそういう世界から来た人がいるからだと考えられます」


「え、うん……?」


「じゃあその人はどうやって別の世界に行ったのか。その方法がずばりオカルト的なものだと思うんです」


 あ、なんかこの感じ懐かしいかも。

 俺はとりあえず適当に相槌を入れながら彼女の話を聞くことにした。


「現実では不可解なこともオカルトを通せば納得がいきます」


 ちょっとごり押しな気がするが。


「創作や伝承でも神様や悪魔的な存在は特に人の想いに反応して願いを叶えたり、もしくはその手助けをしてくれたりするものが多いです。つまり想いが強ければ強いほどそれに応えてくれやすくなるのではないかと」


「まぁ、一応それっぽい感じな気がしなくもないけど……」


「その想いに応えた結果としての副産物がSFという概念になるのだと私は思います」


「おおー」


 つい軽く拍手をしてしまった。

 まるで何かの演説のようだった。

 こういう時の彼女は本当に生き生きしてるというか、好きなものに真剣でとても楽しんでいる感じが伝わってくる。


 そんなとき、俺はふと思ったことを口にした。


「じゃあお前の想いってのはなんなの?」


「……へっ?」


「いや、まぁ実際に別の世界からこっちに来れたってことは、それだけお前の想いが強かったってことだろ?」


 途端に彼女の顔が赤くなり始めた。

 なぜか急にもじもじし始めると、歯切れ悪く口をぱくぱくとさせている。


「あぁ……。いやぁ、まぁ……。その、ですね……」


「ん?」


 俺はそのまま首を傾げて彼女を見つめる。


「えっと、もうちょっとだけ、歩きましょうか」


 少し恥ずかしそうに頬を赤らめながらも、彼女はそっと微笑んでいた。

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