気付けばすでに。

 私と先輩はよく一緒に過ごすようになった。

 私の何でもないような趣味の話を、隣で先輩が楽しそうに聞いてくれる。

 夕暮れの帰り道だったり、休日の日中だったり、とにかくいろんな時間を過ごした。


 それだけなのに楽しくて、とても嬉しかった。

 今までは一人で過ごしていた時間が、誰かといるとこんなにも楽しくなることを知った。


『俺、お前のそういう表情なんかいいなって思うよ。笑った顔っていうか、楽しそうにしてるところっていうか』


 突然そんなことを言われた。

 なんでだろう。急に顔が火照っていくのを感じる。


『なんていうか、うまく言えないんだけど……。うん、好きだわ』


 そう言って先輩が優しく笑いかける。

 今まで気づかなかったけど、たぶん私はもう、先輩のことが――好きになっていたんだと思う。

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