いつかの日のように。

「結論から言うと、私の世界の先輩はもう亡くなっています」


「お、おう……」


 つまりそういうことらしい。

 向こうの俺がもういないからわざわざこっちの俺に会いに来たと。

 発想がぶっ飛んでいる。だけど、彼女らしい。


 いつも好きなことに夢中で、それを語る彼女はとても楽しそうで。

 そんな彼女の笑顔が眩しかった。

 自分も彼女のようになりたいと思った。自分もいつかこんな風に笑って、楽しい毎日を過ごしていけるようになりたいと。


「それで、どうしてまたわざわざ」


「えっと……。先輩に伝えたいことがあったんですけど、向こうでは言えなかったので」


「伝えたいこと?」


「はい。でもその前に、どうやらお互い久しぶりの再会みたいですし、少し歩きながら話しませんか?」


 それから俺たちは昔のことなんかを話しながら、二人並んで歩き始めた。

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