気付き。

『――どうして海が好きなの?』


『――どうしてだと思う?』


『――そんなの、わかんないよ』


『――ヒントはね、キミだよ』


『――えっ、どういうこと?』


『――さぁ、あとは自分で考えてよ』


 正直、全然わからなかった。

 しばらく考えてみたけど、やっぱりわからなかった。

 あの頃の俺は鈍感だった。


 でも今なら多分、わかる気がする。

 それはきっと、お互いがそれぞれの気持ちに気付いていたから。


 だから余計に言えなくて、言いたくなくて、別れが辛くなることを惜しんでいたんだ。

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