白雪姫①
白雪と名付けられたその娘の母親が死んで数年後、新しく王に嫁いだのは、まだ年若い娘であった。
scene:鏡
「鏡よ鏡、この国中で一番美しいのは誰かしら?」
鏡(に映ったお妃様のイケボすぎる低音)「確かに、あなたは充分に美しい」
「だけど白雪姫は、その何千倍も美しい」
一瞬の間
「きゃ〜〜〜〜!!!!やっぱりそうよね!!!!!やっぱりあの子が世界で一番可愛いわよね!!!!!?!!!はぁ〜〜幸せ……………。ふぅぅぅぅぅ……だめよ、私。心を落ち着けて……すぅ……はぁぁぁぁぁぁ、だめ、やっぱりだめ。あの子は可愛すぎるわ。本当になんでなの。あの子はどんな時でも可愛いわ。何をしていても可愛いわ。うぅん、たとえ形式上だとしても、わたし、あの子のお母さんでいられるなんて……!!幸せ……✨✨✨」
ベットにスライディングしてクッション抱いてゴロゴロゴロゴロ…ってしてるお妃様。
コンコン。(急に鳴り響くノックの音)
「うわぁ、!?」
一回ゆっくり深呼吸をしてから、部屋の扉を開ける。
扉の向こう側には、白い肌に黒い髪、真っ赤な頬の少女、白雪が立っていた。
その手には、見覚えのないカゴが握られている。
「あら、白雪じゃない。どうかしたの?」
あくまでも平静を装うお妃様。その実脳内は白雪の姿を見たことで限界に達している。(割愛)
「明日には隣国へ旅立つので、最後に、お母様へご挨拶に参りました」
白雪は隣の国の王子に嫁ぐことになっていた。
「あら、そうなの。寂しくなるわね」
端から見るとお前ほんとにそう思ってるのか?ってくらいしか顔の表情が動かないお妃様。
その裏脳内では白雪と離れてしまうことへのあまりの悲しさから限界オタクを発揮しているお妃様。(略)
「これは私からの、お母様への最後の贈り物です」
白雪が手に持っていたカゴを差し出す。
カゴの中身を覆い隠すように掛けられていた白い布をめくると、真っ赤に熟れたリンゴが顔をのぞかせる。
「あら、ずいぶん美味しそうなリンゴね。どうしたの?これ」
「私が生まれた時、お城の庭に植えられたリンゴの木から取れた物なんです」
「そうなの。じゃあ、ありがたくいただいておくわね」
お妃様の内心「白雪の木から取れたリンゴ⁉︎なんてこと、じゃあつまりこれは、実質的に白雪ってコトなのね!!!そんなの食べるなんてできないわ。部屋に飾っておいて、毎日しっかり丁寧に慎重に扱っておかないと!!!!」
何かを察した様な白雪「あの、ちゃんと食べてくださいね……?」
その後、扉の前でしばらく2人が雑談。
その中で一度、白雪が小さくポツリとこぼす。
「あーあ、行きたくないなぁ」
その言葉を聞いたお妃様が、白雪暗殺に見せかけた、脱走の計画を立てる。
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