最終話:俺の羅利子拝(らりこっぱい)
次の朝、爽やかに目覚めた俺は羅利子をつれて観光にでも出ようかな
って思ったら羅利子はそういうのにはまったく興味がないってよ。
エッチしてくれたら考えてもいいってよ。
なもんだから、とっとと帰ることにした。
来た時と一緒で、羅利子にはフィギュアになってもらってショルダーに
入ってもらって時々大きくなりながら我が家に帰ってきた。
それはそうと妊娠はどうなったんだ?
まったく人を喰った座敷童だよ。
で家に帰って来た俺は驚いた。
母ちゃんが商店街のくじ引きで、なんと家族全員でハワイ旅行が当選していた。
しかも父ちゃんが久しぶりに行ったパチスロで大当たり、その稼いだ金で
宝くじを買ったら、なんと三億円当たった。
なんなん?
これも羅利子効果?
なんかさ、怖いくらいだと思わないか?
羅利子と北海道にいるうちに我が家は大きく変わっていた。
あまりの出来事に家族全員、身を持ち崩さないか心配だよ。
で、羅利子が言った。
ちゃんとすることはしてあげたんだから壮太もすることしてって。
することしてって?・・・そんなの卑怯だろうが・・・。
「不幸貧乏になりたい?・・・私に逆らったら一家でホームレスだよ」
結局、俺は妖艶な羅利子と北海道での続きをしなきゃいけない羽目になった。
でもこれが・・・。
羅利子は、なんと分身なんかできるんだ。
だから俺は三人の羅利子を相手にしなきゃいけなくなった。
ひとり終わったら次の羅利子が迫ってくる・・・。
え〜そんなのがこれからずっと続くのか?
喜んでいいのか、ビビっていいのか?・・・大富豪になるまえに死ぬって思った。
ってことで俺が電話ボックスに興味なんか持ったせいで奇妙な女の子、
羅利子が俺んちに来たおかげで俺の家はめっちゃ豊かになった。
俺に取り憑いた羅利子は一生俺から離れることはないから、いくら散財しても
身上潰すこともなかった・・・。
羅利子を大切に敬ってさえいれば貧乏になることもない。
だからそののち俺は、日本でも有数の大富豪になった。
だけど未だに独身・・・なんでかって言うと人間の女子を彼女に持とう
とすると奇妙なことにその彼女たちは、みんな病気で亡くなるんだ。
ある日、羅利子が俺のそばに来て耳元でめちゃエロい声で囁いた。
「金持ちにはしてあげるけど彼女を作ろうとか嫁をもらおうなんて考えないこと」
「そんなことしたら相手の女はみんな死ぬよ・・・私がいる限りね」
「え〜怖いな〜それって、ヤキモチじゃないかよ?」
「壮太が浮気したら私のお尻の女郎蜘蛛が教えてくれるの、だからにはすぐ
分かるんだからね」
でもまあ、俺がじじいになるまでには羅利子との暮らしにも悲喜こもごも、
波乱万丈、紆余曲折、まだまだいろんなことが待ち受けているんだ・・・。
俺がこの世を去っても羅利子はまだどこかの家の隅で生きていくだろうな。
できれば、どこにいても何してても「幸せ」であってほしいって祈ってるよ。
羅利子・・・愛しの座敷童。
《座敷わらしの宿りたもう家は富貴自在なりと言うことなり・・・ただし彼女の
嫉妬は海よりも深いものと覚悟すべし・・・》
おっしまいです。
あやかしの森の羅利子拝(らりこっぱい)元祖。 猫野 尻尾 @amanotenshi
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