第12話:砂かけばばあの粉。

俺は全美連の大会に参加するためにポンコツ座敷わらしと一緒に飛行機に

乗ってる。


案の定、CAさんが俺たちの席のほうにやって来そうな気配。


羅利子は今の所、小さくなって俺のショルダーに入っている。

できたらこのままの状態で新千歳空港まで飛んでくれ。


でもそうかいかないのが、羅利子。

いきなりショルダーバッグから飛び出してきた。


「ぷは〜、暑苦しくて死ぬかと思った」


あっと言う間に羅利子は等身大に戻った。


「え?もう出てきたのかよ、辛抱のないやつだな」


「だって〜」


「だって〜じゃないよ・・・ CAに見つかったらどうすんだよポンコツ〜」


「なんで、そんな言い方するの?・・・もっと優しくしてよ」

「妊婦なんだよ、私」


「まだ言ってんのかよ」


「飛行機落としちゃうよ」


「バカなことは、やめろ!!・・・分かったから」


そういうと羅利子はスカートのポケットからなにか小袋を取り出した。

で、中の物を指で取り出したかと思うと、それを俺に向かって振りかけた。


びっくりした勢いで俺はそいつを思い切り吸い込んだ。


「ゲホ、ゲホ、ゲホ・・・ゲ〜ゲホ、ゴホッ」


俺はめちゃめちゃ咳き込んだ。


「なにやってんだ・・・死ぬ・・・・あ〜死ぬかと思ったじゃないかよ、ゲホッ」

「なんだよ、この粉みたいなやつ、ゴホッ」


「その粉、砂かけばあちゃんからもらったの?」

「え?砂かけばああって漫画の中だけじゃないのかよ・・・実際にいるのか?」


「妖怪は普通にいるの、私が証拠でしょうが・・・」

「あ、その粉の効果すぐでるよ」


「効果って?・・・どのような効果ですか?、羅利子さん」


「わ〜キモ〜・・・」


「誰がキモいですって・・・私、ちょと変ですよね」

「私は誰?、ここはどこ?」


「粉の効果、絶大」


「こんなことして、あとでひどいですよ、羅利子さん」


「おしっこ」


「・・・・・」


「私が元にもどたったら、確実に折檻ですよ、羅利子さん」

「覚悟してなさい」


「おしっこだってば・・・」


「もう、はやくトイレに行ってらっしゃい」

「お漏らししたら承知しませんよ」


「どこか分かんないもん」


「げげ・・・手間のかかる人ですね羅利子さんは、やっぱりポンコツ」


お公家さんみたいな喋り方になった俺は羅利子を飛行機のトイレに連れて行った。


途中、作り笑いで顔が固まってるCAさんと遭遇したがなにも言われなかった。

そんなアホなことしてる間に俺たちを乗せた飛行機は無事、札幌新千歳空港に

到着した。


空港からバスに乗って大会会場があるホテルへ・・・。

目指すホテルは札幌中央公園の近くにあった。


ホテルに羅利子とふたりチェックインして案内された部屋へ。


羅利子にまた小さくなってもらって俺だけチェックインしようかと思ったが、

ホテルくらい自由にさせてやってもいいかと思って等身大のままホテルに入った。


今夜このホテルに泊まって明日の午前10時から表彰式の予定。


「え〜すごいね、ホテルだって・・・」


「さてホテルのディナーでも食べに行きましょうかね」

「バイキングらしいですよ、羅利子さん」


「お腹空いたね」


「ところで私のこのお公家さんみたいな話し方はいつもとに戻るんでしょう?」


「多分だけど、お風呂に入って身体中についた粉を綺麗に洗い流して、

洗面所でガラガラうがいしたら元にもどるんじゃないかな?」


「そうですか?、では早めにお食事済ませて早めにお風呂に入りましょう・・・

自分でもとってもキモいって思います、羅利子さん」


「だね・・・キモいね・・・クチが悪くても、もとの壮太のほうがいい」


「じゃ〜お風呂に私と一緒に入ろうね」

「体の隅々まで洗ってあげるからね・・・おチンチンも綺麗に洗ったげる」


「・・・・・そんな恥ずかしいこと・・・」


「やめろ〜・・・てめえ羅利子〜・・・」


「あら・・・お風呂に入る前に粉の効果切れちゃった」


とぅ〜び〜こんて乳。



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