第9話:羅利子ちゃん効果?

そう羅利子は座敷わらし・・・。


俺の絵空事のような話を母ちゃんは疑いながらでも信じたようだった

って言うより羅利子が座敷わらしと知って、考えをガラリと変えただけ・・・。

まあ、それが人間の正直な反応だし行動・・・みんなそうするだろうな。


「でもさ、壮太、この子を引き取るっていったってあんた、急にこんなに

大きな女の子がうちにいたらご近所さんが、いぶかしく思うでしょうが・・・ 」


「そんなの母ちゃん、親戚の子を預かってるとか、養女をもらったってことに

しとけばいいだろ? 」

「それに前から、俺に下に妹を作っとけばよかったって言ってたじゃないかよ 」


「そりゃそうだけどね」

「まあいいわ・・・娘がひとり増えたって思えば・・・」


「あ、それと母ちゃん、これは大事なことだから言っとくぞ」

「羅利子を邪険にするなよ・・・大事にしないと俺っち不幸貧乏になるからな」


「分かってるわよ、どこに自分ちの娘をないがしろにしたりする親がいるのよ」


「え? はやもう親になってるのか?」

「でもまあ羅利子ひとりくらい増えたって平気だろ?」


「大事にするよ」

「ひとりぶん余分に生活費が増えるけど、あんたの分減せばいいことだし・・・」


「父ちゃんの稼ぎ、もっとあったらね・・・出世の見込みもないしさ・・・」


「そんなこと言ったら父ちゃん可哀想じゃん、腐っても一家の大黒柱だろ?」


「腐ってもって、あんたのほうが、ひどいよ」


俺と母ちゃんが話してる間、羅利子はソファにおとなしくて座って、母ちゃんが

出したオレンジジュースを美味そうに飲んでいた。


「あのさ、壮太・・・私、この姿このままでいい?それとも前の方がよかった?」

「前のほうがいいなら戻るけど・・・」


「そうだな?ちょっとまあ派手だけど、そのままでいいんじゃないか?」

「個性的だし・・・そのへんのギャルにだって負けてないしな」


「じゃ〜いいの?このままで?」


「現代の座敷わらしっぽくていいじゃねえの?俺は好きだけど・・・」


「そ、よかった・・・私が壮太のタイプで」

「あのさ、今日、いいことあるよ壮太」


「え?」


俺は羅利子がなに言ってるのか意味が分からなかった。

その意味が分かったのは、夜遅くなって親父が帰って来てからのことだった 。

親父が俺と母ちゃんの前で自慢げにのたまわったんだ 。


「部長に昇進した」


まじで?・・・万年平社員だったおやじが部長?

母ちゃんも俺も、びくりしたことは言うまでもない。


羅利子が言った「いいことがあるよ」って言ったのはこのことだったのか?

羅利子は予知もできるのか?


いやいや、これこそ羅利子効果?


羅利子の面倒を見てくれってばあちゃんに頼まれた時の言葉。


「羅利子は住み着いた家の人の扱いによって幸福をもたらすか不幸をもたらすか

その、どっちかなんだよ」

「だから壮太一家が羅利子をないがしろにしたら不幸貧乏になるからね」

「それだけはお覚えておいて・・・」


「羅利子を大切にしてくれたら壮太くんにとっては羅利子はアゲマンになって

くれると思うからね」


って、言ったその言葉を思い出した。


「壮太の父ちゃん、出世したみたいね・・・よかったね」

「え?これってもしかして羅利子のしわざ?・・・おまえのおかげ?」


「言ったでしょ、今日いいことあるよって?」

「ほんの手始め・・・これは壮太が私を預かってくれたことへのお礼」


そうか・・・羅利子を大事にしないと親父はまた平に戻ることになるのか・・・

責任重大だな。

羅利子を泣かせるようなことは、しちゃいけない・・・これは大いなる

責任を伴うぞ。


俺には羅利子が取り憑いてるし・・・

期待も不安も付きまとう・・・これから俺たち一家はどうなっていくんだろう?


そう思いながら俺にへばりついてくる羅利子を見た。

まあ、へばりつかれて悪い気しないし。

ハグされてるようなもんだしな。


とぅ〜び〜こんて乳。


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