第5話:猫ちゃん、可哀想〜。

呪凶淫妃じゅきょういんき」とかって女が夢の中にいる間に俺と羅利子ちゃんは山門を抜けて子宮道「女妊洞にょにんどう」に入った。


洞窟って割には真っ暗じゃなかったので足元がおぼつかないってことはなかった。

どこかから陽の光が差し込んでるんだろう。

もしかしたら出口かもしれないって俺は思った。


「おい・・・俺の尻を押すなって・・・」


「だって・・・ハグれちゃうと困るし」


「一方通行なんだからこんなところでハグれるわけないだろ」


「壮太〜オナラしないでよ」


「やってやろうか?超特大でめっちゃ臭いやつ・・・」


「そんなことしたら、お尻の穴に小石百個くらい突っ込んで一生オナラ

出なくしちゃうよ 」


「石一個突っ込む前に羅利子ちゃんは俺の屁をくらって失神すると思うぜ・・・ 」


「そんなに強烈なの?」


「冬、こたつ出しててさ、こたつの中に俺んちの猫が入って昼寝してたんだ 」

「で俺が屁をこいたら、猫がコタツのなかで失神してたんだよ」

「いつまでたっても猫がでてこないからさ・・・で、コタツの中覗いたら中で

猫が白目むいて泡吹いて倒れてたんだよ 」


「まさか俺の屁で失神してるなんて思わないだろ?」

「だからすぐに病院へ連れてったんだ 」


「そしたらさ、動物病院の医者がさ、ガス中毒ですってさ」

「まあ、命に別条はなかったけど、それ以来猫はコタツに入らなくなったな」


「うそ〜・・・猫ちゃん、可哀想〜」


「屁、したら罪になるって法律あったら俺、即逮捕されるよな、あはは 」


「笑い事か」

「お願いだから、まじでしないでよ」


「大丈夫だよ、ここで羅利子ちゃんに失神してもらっちゃ困るからな」


「ねえ、もう随分進んだみたいだけど、まだ?」


「少し向こう側が明るくなってきた気がする」


「はやくおばあちゃんに会いたいよ」


「もうすぐ会えるよ」


「普通ならさ、俺たちが逃げたら「呪凶淫妃じゅきょういんき」とかって

女が追ってくるよな・・・」

「バトルがないって・・・ゆるいなこの物語・・・」


「熟睡してんじゃないの?」


「って言うか手抜きだよな・・・まあコメディーだし・・・バトル描写するの

下手なんだよ」

「そうそう、この洞窟、なんで男女カップルじゃなきゃいけないんだ?」


「う〜んよく分かんないけど男が一人だけでここを通ると入り口まで

飛ばされて前に進めないんだって・・・」

「で、女ひとりや女同士で通ると妊娠しちゃうって聞いたけど・・・」

「で、生まれた赤ちゃんは化け物なんだって・・・怖いよね」


「男女カップルだと大丈夫なんだな?」


「今の話はおばあちゃんから聞いた話なんだけどね」


「なんでもよく知ってる、ばあちゃんだな」


「なにも起こらないってことは壮太と私、ベストカップルなんだね」


「ベストかどうか分かんないけど、このまま無事に抜けられたらそうかもな 」


そうこうしてるうちに、子宮道の出口までやって来た俺たち。


「お〜出口だよ」


「ここを出たら、すぐに死返玉まかるがえしのたま を使うからな・・・」


「こんなとこ、とっととおさらばしようぜ」

「さあ帰るぞ、羅利子!!」


「私を自分のものみたいに呼び捨てか?、壮太」


「羅利子だって俺のこと壮太って呼び捨てじゃん、それに俺たちベストカップル

なんだろ?」


「うん」


つづく。


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