第4話:黄泉比良坂(よもつひらさか)
俺は変な夢を見ていた。
まだ、いち度も会ったことがない
手招きしている。
まだ会ったことがないのに
髪は長くて黒髪。
あどけない笑顔で俺を手招きしている。
まるで俺のことを待っていたように・・・。
だけど、孫なんて言うから俺はてっきり幼い女の子かと思ってたんだけど
夢に現れた子は俺とたいして変わんない歳頃じゃん。
「
「お〜き〜て〜♪・・・起きなさい・・・」
「起きろよ・・・いつまで寝てんの?」
俺は、ほっぺたに痛みを感じた。
どうやら俺は誰かにビビビンってビンタをくらったみたいだ。
それで俺は目が覚めた。
「目、覚めた?・・・壮太」
「こ・・・ここは?」
「黄泉の国の入り口、
「じゃ〜俺は・・・無事たどり着いたのか?」
「脂粉さんに毒盛られてから意識を失って・・」
で俺は俺に声をかけたその人を見た・・・。
髪は長くて黒髪であどけない笑顔。
さっき混沌とした意識の中で見た普通の女の子だ。
「君、もしかしなくても
「羅利子ちゃん?・・・たぶんそうだけど、人の名前、略すんじゃないの」
「まあ・・・いいけど・・・そのほうが可愛いから」
「あの、はっきり言うけどさ・・・羅利子ちゃん、めっちゃ可愛いんだけど」
「俺のタイプ・・・」
「まだ、寝てるの?」
「いやいや・・・起きてるし、まじそう思ってるし・・・」
「ん〜まあそう言われて悪い気はしないね、正直嬉しいけど」
「で、羅利子ちゃん、初対面なのになんで俺の名前知ってるのかな?」
「壮太の脳みその中覗いたから・・・」
「え?いつの間にってか、そんな器用なことできるんだ」
「壮太の夢に私がでて来たでしょ」
「頭の中に入ってやった・・・けどエッチいことしか考えてないんだね、壮太って」
「俺くらいの歳の男の頭の中なんてエッチいことで渦巻いてるんだよ」
「てか、人の頭の中覗くなよ、個人情報ダダ漏れじゃねえかよ」
「それにさ、会ったばっかなのにもう俺のこと呼び捨てか?」
「脳みそに、たいした情報持ってないじゃん」
「無視すんなって・・・」
「俺の頭の中は必要なものしか入ってないんだよ、整理されてるの」
「ああ・・・エッチいさえあったら生きていけるんだ、壮太って」
「少しは自制心とか理性だってあるよ、あと道徳心にモラルもな」
「なかったら、とっくに私を襲ってるよね」
「まあ、羅利子ちゃんは可愛くて魅力的だからな・・・」
「そんなこと言って私を口説くつもりでしょ」
「つうかさ、そんな無駄がなししてていいのか?」
「なんかここ、
「見渡す限り白黒の風景じゃん・・・そこらに生えてる草も色ついてないし」
「ここは死んだ奴しか通らないから色なんてなくてもいいんじゃない?」
「そうだ・・・壮太・・・ただここに来たわけじゃないんだよね」
「私を助けに来てくれたんでしょ?」
「そうそう羅利子ちゃんのばあちゃんに半ば、強制的に頼まれて」
「義憤にかられて俺が羅利子ちゃんを救出しに来たってわけ」
「でも俺が来なくても、ひとりで帰れそうなくらい元気じゃないかよ」
「
通れないの」
「その点、私と壮太もう一心同体だからね」
「なんでよ?」
「壮太の頭の中覗いちゃった時、ついでに取り憑いちゃったからね」
「だから壮太とは他人じゃないんだよ・・・」
「取り憑いたってどういうことだよ」
「だから文字通り・・・」
「誰かが私を
「あ〜それ生霊ってやつか?」
「ちょっと〜違うよ・・・私、生霊じゃないから・・・」
「生だよ、生」
「なことより、こんなところで時間潰しててもしょうがないから逃げようぜ」
「ちょうどよかった・・・あいつ今、昼寝中だから」
「ああ、「
「そうそう、あいつがレム睡眠に落ちてるうちに逃げよう、壮太」
ってことで俺と羅利子ちゃんは、黄泉比良坂を抜け出した。
その間、どこの誰だか分からないやつら何人かと遭遇した。
30分ばかり歩くと、デカい門の前にたどり着いた。
寺の山門みたいだ。
門の屋根の下に表札みたいなものが、かかっていてそこに「女妊洞」と
書いてあった。
「ああ、ここだな男女ペアじゃないと通れないって言ってた洞窟って」
「私たちベストカップルだよ」
「いつからそうなったんだよ」
「ピテカントロプスが地上に現れた時から・・・」
「なるほど・・・なかなかいい線行ってる」
「じゃ〜行くか・・・無事に通り抜けて現世に帰るぞ」
「壮太・・・めっちゃ頼もしく見える」
「私の彼氏みたい」
「俺に取り憑いてるんだろ・・・だったら俺は羅利子ちゃんの彼氏みたい
なもんだな」
「告らずに彼氏なんて恵まれてるよ、壮太」
「なに言ってんだよ、ドキドキしながら告って彼女をゲットする、それが
醍醐味・・・男ってもんだよ」
「わ〜、すっごい天邪鬼」
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます