古典部の田中くんは…

古典部の田中くんは…

「さて、ふみたんとなゆたん、どうだったかな?俺の読み聞かせは。」

田中先輩はそうやって僕達に意見を求める。

「そうね、もう少し丁寧な説明と状況説明が欲しいわね。」

文月先輩…直球で言うなぁ…。

「むむっ…、俺もまだまだか…。じゃあなゆたんはどう思う?」

だからなゆたんは…

「そうね、私もなゆたんの意見聞きたわ。」

先輩っ!?

文月先輩まで田中先輩のせいで…。うぅっ!

「…そうですね、僕としては田中先輩は凄いと思いますよ。だってその文、ぜんぶ古文で書かれてるじゃないですか」

そう、そうなのだ。田中先輩は4000年以上も前の文章をスムーズに読み聞かせしているのだ。凄い人である。流石にこれ以上を即興で説明しろという文月先輩はなかなか厳しい要求をしているのでは…。

いや、文月先輩ならいけるのかも…?

「なゆたん!俺は感動だよ!俺が…俺が苦労して訳したんだ!」

田中先輩は両手を大きく広げ俺に抱きつく。先輩の力が強くて離せない…。こんな力どこにあるのかが疑問でしかない。

「さんだー君、そういうのはいいから一旦話しましょう。」

文月先輩助け舟ナイスです!

「ふみたん!遂に俺の名前を呼んでくれたんだね!」

ごめんなさいふみたん先輩…じゃなくて文月先輩。

田中先輩は僕のことを離し文月先輩に抱きつこうとする。が、もちろん僕が止める。

流石にそれは…ね?良くないよね。

「田中君、今のようになるから君の名前を呼びたくないんだよ。」

それが当たり前だ。

「普段から呼んでくれればこんなことはしないっ!」

…と言ってももう手遅れなんだよなぁ。諦めるしかないよね。

やっぱりこんな調子の古典部は何か面白い…。


あぁ。今日もいつもの田中さんだー。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

古典部の田中君 彼方のカナタ @VERE

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ