14
ぬくもりが鬱陶しくて、
せっかく付けた暖房を消す。
独りよがりな人生観に基づいて
不幸を謳歌する。
望めばぬくまる家があるのに
何が不幸なのだろう。
君がいない。
いない君を愛する。
愛する君などいない。
ない愛を君にする。
不都合を都合よく利用して構成すれば
僕が成立するだろうか。
思い立ってベランダに出てみる。
四通りの白い家がみえる。
だから何だ、他人の家だろ。
感傷に浸って煙草をふかす趣味はない。
夜風にあたる感傷もない。
寒い。
部屋に残った暖房の残りに縋ってみる。
縋り付く許しを得られないままここまで来た。
瞬きの合間に君がいるから
いっそ瞳を閉じ続けたらと仮定するけれど、
痙攣するみたいに理性が足掻いて邪魔をする。
静まり返った部屋に呼吸音が響く。
僕だと思われる内容物を全部ぶちまけて
殻の中に君だけ残したい。
僕をかなぐり捨てて君に世界を明け渡したい。
与えることが愛だというなら
僕のこれだって愛のはずだろ。
奪われるものが愛だったなら
君が手にしたそれは愛だろ。
瞼に押し付けた掌を握り込んで
奥歯を噛みしめる。
肌と肌の間から体液がにじみ出ても、
耐え切っているふりを続ける。
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