第8話
>え? 鑑定あるなら見て貰いたいのだが
>確かにスキルあるの判れば覚醒? とやらにも気合いが入るしな!
>鑑定料金50万円になります
>50万は無理やwww
>お前ら鑑定します詐欺に簡単に引っ掛かりそうでくさ
>覚醒しなきゃ確認もしようがねーから詐欺に気付くのも立証するのも難しいか
>告知のショート動画は京ちゃんだったけど、今日のおねーちゃんは何さんと呼べば?
>紙に50万円て書いてファイヤーボールで燃やして下さい!
>要求がくさなんよ
「あわわわ、取り敢えず今できる事をやっていきますね! あ、自己紹介もせずに進めてしまってすみません。私のことは マコ と呼んで下さい。カメラマン共々よろしくお願いします」
>名前把握
>マコちゃん了解
>京ちゃんとマコちゃんですね!
>鑑定はスルーですかそうですよねw
>女の配信者が野郎の視聴者と会うのは色々な意味で厳しいな。俺らがどんなに草食系のへたれインポ野郎でも
>視聴者の自己評価w w w
>このへたれインポ野郎がっ!!!
「この通りコピー用紙に油性マジックで50万円と書きました。これをあの木にガムテープで貼り付けて、離れた場所からファイヤーボールを当ててみようと思います!」
視聴者の軽い自虐を伴った下ネタをスルーして、書き込みに沿った方法で魔法の試し打ちを進めてゆく。
近い位置にあった幹の太い樹木にガムテープでもってコピー用紙を貼り付けてから、真琴が距離をとるために遠ざかる。
カメラ役の京は魔法が着弾する側で撮影をするため、樹木から2メートル程の間隔を空けてカメラを構えた。
さっきよりも大分距離をとった真琴が両腕を数回、交差させるように振って合図をした後、魔法を発動した。
京の操作によりズームされたカメラが遠く離れた火の玉を捉える。
凄いスピードで迫る魔法を上手いこと捉え続けて、着弾の瞬間までをカメラに収めきった。
ゴッ! という低い音を伴って着弾した火魔法は、瞬間的に燃え広がってコピー用紙もろとも消えた。
ガムテープの一部だけが樹木に残り、樹木が燃えるようなことはない。
その様子に真琴と京が内心で胸を撫で下ろす。
>凄くてくさ
>うーんストライク!
>マコちゃんさんスゲーw w w
>これは用意してあった画像ではないよな?
>50万円の案は無くなりました(物理的に)
>俺は本物だと認めるね! いや、否定する材料が無いだけなんだけど
>さてはこの流れを予知して(スキルで)動画を用意していたな?
>予知スキル←スキルの存在を認めてる上に火魔法より豪華なの草なんよ(と、一応突っ込んどく)
>紙だけ燃やした威力の加減具合は、使用者が調節できるんやろか? それはさておき凄いな!
「いかがでしたでしょうか? コメントを見ると結構、認めて頂けたみたいですね! ふふ。あ、そうです! 魔法を打ち出す際に結果をイメージしていて、上手く紙だけを燃やすことができました! どれくらいの幅かはまだ確認の余地があると思いますが、威力の調節は出来るみたいです」
離れた場所からカメラに歩み寄った真琴が、コメントを確認しながら視聴者とやり取りを再開する。
最初のターンテーブル状態は鳴りを潜めて、ずいぶんとこなれた様子だ。
>ふふ助かる
>魔力残量は大丈夫ですか?
>これはスキル覚醒? の方法が大至急、我々にも必要ですね!
>登録者どんくらいで教えてくれるんやろ?
>100万人です
>いやまだ83人なんよ
>同接は3桁いってるのにな。皆急げ!
>1万人くらいでお願いできないかな?w
>さては我々に拡散させるつもりだな? 頑張るわ俺
>でも実際問題、魔法つっても使い所が難しいな。初めは面白がって使うだろうけど、日常で必要なさそうだからな火魔法とか。危ないし
>火災の度に容疑者扱いされたら怖いなw
>大丈夫や、俺らにそんな良いスキルないって。せいぜい虫に変身するスキルか体重が増えるだけのスキルや
>蚊に変身して潰されるのは嫌やw w
「あぁ、スキルの覚醒方法については安全性なんかも検証する必要がありますし、当分先の話になるかと思います。場合によっては動画上ではお教えできない状況も多々考えられますし」
>え?
>え???
>まじかぁw
>危険を伴うってことか……
>まぁそりゃそうか。リスク無しでそんな便利な力、獲得できないか(泣)
>子供まで視聴できる環境だからな。やたら滅多な内容は配信できないよな確かに
>くそっ! 水○式で済むなら危なくないのに!
>拡散のモチベ下がったやないかい! やるけど!
>100万人いきました→覚醒方法やっぱ公開しませんじゃ萎えるなw
>動画上ではない方法を考えるんや!
>それや!
「スキルの覚醒方法については色々と考えるというか検証する必要があるので時間を貰えると助かります。皆さんのコメントにもありますが、無責任に危ない方法を世界に向けて発信するわけにはいかないので。誰でも必ず一つはスキルを持っている筈なので、焦らずに気長に待っていて欲しいです」
>え?(歓喜)
>え???
>【朗報】誰でも一つスキルあります!
>やったぜ!
>まじか! ワクワクが止まらないな!
>俺、魔法が使えるようになったらあの娘に告白するんだぁ……
>古典的なフラグやめーやw
>お前ら喜ぶのはまだ早いで、絶対に良いのと悪い(ショボい)のとあるんやで
>ん? マコちゃんさんは少なくとも3つのスキルがあるんだよな? かなり凄いのでは?
>確かに。3つはスゲーよな
>いや、3つどころか100個くらいあったりして? 知らんけどw
>純度の濃ゆいチートやん
「えーと、今日の配信では皆さんがコメント欄で求められた内容に沿う感じで、私の魔法をお見せできたかと思います。最後に魔法の中でも見た目的に一番派手なんでは? と思うファイヤーウォールを披露して、今日の配信を〆たいと思います! ご視聴、有り難うございました」
盛り上がったり盛り下がったりした配信だったが、何となく良い感じに魔法を披露することができた。
コメントにもそつなく対応して、ボロが出ないうちに配信を終わらせる方向へと進めてゆく真琴。
当たり前の話だが、真琴の《強制覚醒LV1》を使用してまで視聴者を覚醒させるつもりはない。色々な意味で面倒臭そうだし、永遠とその作業をさせられるのは嫌なので。
しかし覚醒方法を求める声があがるのは容易に予想できていたことなので、そうした《発信してはマズい情報》をポロっと漏らしてしまわないか自分で自分を心配していた。なんとか今日は無事に配信を終えられそうだが。
ぺこりと真琴がお辞儀をした後程なくして、配信画面いっぱいの炎の壁が立ち上がった。
>凄い範囲に炎の壁を出せる女が現れた!
>焼却炉の方向で色々と捗るなw w w
>炎以外何も見えないんよ
>絵面が地獄すぎて……
>燃料なしでこの火力! ただのブレイクスルーじゃん! やったぜ!
>人混みで使われたら一網打尽やん。お前らマコちゃんさんに失礼な事言って怒らせるなよ!?
>怖っ! マコちゃんさん怖っ!w
>魔力的な物は大丈夫なんだろうか? 残量的に? いやしかし凄い
>反社的な人達とか危険な思想を持った奴とか他にも無敵な人とかがこんな力を手にしたら……
>馬鹿お前余計なこと言うな!
>人類に魔法の概念が導入されるの確定なら、結構厳し目の選考基準を用意する必要がありそうですね。知らんけど
>国が絡むと新たな利権産むだけだから、その辺は考えて欲しいかな
>やったぜ! 魔法来たコレ、だけじゃ済まないかさすがに……
>概ね魔法の存在を認めたような反応だな皆w 俺もですw
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます