第43話
中庭に着くとコンラッドは上着を脱いで伸びをした。
「やっぱり外はいいな。晴れの日に教室で閉じこもってると損な気がしないか?」
「どうでしょうね」
アレンは怪しんでいた。
生徒達が全員中庭に出るとコンラッドは彼らの顔を見渡した。
「んじゃ、やろうか。テスト」
コンラッドは簡単な準備運動をしながら続けた。
「内容は簡単だ。俺にダメージを与えること。それができたら特別クラスに合格。できなかったら不合格。シンプルだろ?」
どんなテストか身構えていた生徒達はポカンとした。
だがアレンは慌て始める。
「先生。正気ですか?」
「ああ。自分達のいる位置を知るにはこれが一番手っ取り早い」
「ですけど……」
アレンは呆れながら沈黙する。
するとソフィアが手を挙げる。
「はい!」
「なんだ? えっと」
「ソフィアです」
「ソフィア。質問を許可する」
「ダメージって具体的にどれくらいのものを想定してるんですか?」
「う~ん。そうだな。自己申告だと納得できないかもしれないし、見てすぐ分かる基準の方がいいな」
コンラッドは少し考え、答えた。
「よし。俺に触れたらだ。魔術でも剣でも素手でもいい。お前達から俺になにかを当てることができたら合格っていうのはどうだ?」
これにはさすがの生徒達も不満げだった。
ソフィアの眉がピクリと動く。
「あの……、あなたは知らないかもしれないですけど、ここにいるのは学園の中でも選ばれた生徒なんです。しかもいつでも戦えるよう戦闘訓練も受けています。そんなわたし達に対して触れれば合格はさすがに舐めすぎじゃないでしょうか?」
「舐めすぎかどうかはやれば分かる。それにもしそうならお前達にとってはラッキーなんじゃないか。特別クラスのテストを簡単に合格できるんだから」
クロエは顎に手を当て納得した。
「一理あるな」
他の生徒も同意する中、ルークだけはげんなりとしていた。
「お前らはあのおっさんと戦ったことねぇからそんなこと言えるんだよ。触れるだけでもどれだけ大変か……」
そんなルークの背中をレオンが叩いた。
「それはおめえが弱いからだよ。そして俺様は強い。誰よりも、なによりもだ!」
「戦ってから言えよ。クソレオ」
「たりめーだ。俺が最初にやる。おっさんをぶっ倒せば全員合格できるだろ? そしたら俺を崇めろ! 奉れ!」
「はいはい。できたらホットドッグ奢ってやるよ」
「忘れんなよ! クソルーク!」
レオンは生徒達の前に出ると目をぎらつかせてコンラッドを睨んだ。
コンラッドは思しそうに笑った。
「お前が先鋒か。いいね。勇気がある奴は好きだ。名前は?」
それにはアレンが答えた。
「レオンです」
「レオンか。雄々しい名前だな」
コンラッドは優しく言った。
「遠慮するな。全力で来い」
改めて対峙した瞬間、レオンはコンラッドからなにかを感じ取った。
それは紛れもなく恐怖だったが、レオンは認めなかった。
「だからどうしたよ……」
拳をぶつけ合うとレオンはコンラッドに向かって重心を傾けた。
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