誇り高き護衛


 俺の家は代々王家の護衛を任されてきた誇り高き一族だ。

 俺は小さな頃から鍛錬を積み、力を付けてついに王女の護衛を任されることになった。


「わたくしの護衛をしてくださる皆さん、ありがとうございます。万が一のときは構わずご自分のお命を大事にしてくださいね」


 王女は護衛たち20名ほどに囲われて、森の中を進んだ。

 しかし突如どこからともなく煙玉が撒かれ、王女は一瞬の隙に何者かに攫われてしまった。


「し、しまった…!!王女様が…!!護衛隊長、どうしましょう!?」


 護衛たちが慌てた様子のなか、護衛隊長は冷静に口を開いた。


「大丈夫だ。王女様は幼少期の頃から武道、剣術、縄抜けなどすべての極意を仕込こまれてきた。今頃彼らは王女様にコテンパンにやられているであろう」


「え、じゃあ何のために俺たちは護衛を…?」



「”王女様が強すぎる”という噂が広まると結婚相手がしり込みしてしまうのでな。か弱い王女という演出のため、君たちはいわばエキストラだ。報酬はあとで渡すので安心したまえ」






ー完ー

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