第2話 事件
目が覚めると真っ白な天井があった。微かに香る消毒液の匂い。
状況が理解できずキョロキョロと首を動かし周りを見ていると、ちょうど部屋に入ってきた女性に声をかけられた。
「良かった、目が覚めたんですね。ここは病院ですよ。先生を呼んできますから少し待っていてくださいね」笑顔でそう言うとバタバタと部屋を出ていった。
暫くするとコンコンコンとノックの音がして病室の扉が開いた。
「失礼します」声の方に視線を向けると30代くらいの男性と先ほどの女性が病室に入ろうとしていた。
「ドクターの田中です。体調はどうですか?少し診察をさせてくださいね」
「あなたの名前を教えて貰えますか?」
「
「記憶の方は問題なさそうですね。胸の音とバイタルも特に問題はないかな。それで、北岡さんと話したいという方がいらっしゃるのですが、少し時間宜しいですか?」
診察を終えた先生からそう聞かれ俺が先ほどまでの事を思い返していると俺の返事も待たずにスーツ姿の二人組の男が入ってきた。
「北岡廉弥さんですね?刑事の高山です」そう言いながら胸ポケットから警察手帳を取り出して見せられた。もう一人は池田と名乗った
「目が覚めたばかりで申し訳ないのですが、事件の事を聞かせてください」高山刑事が真剣な表情で言う。俺は返事をしてさっき自分の身に起きた事を話し始めた。
「寒くて目が覚めたら暗闇にいました。男の人がいて拳銃を持っていました。俺、殺されそうになって…」話していると段々と怒りが込み上げてきた。
なんで俺が訳もわからず殺されないといけないんだ!
グッと拳を握っていると高山刑事が優しい声で俺に話しかけてきた。
「君が怒る気持ちはわかるけど落ち着いて。我々も今、全力で捜査しているし、君をあんな所で拘束していた犯人は必ず捕まえる。でも、その為には情報が足りないんだ。どんな事でもいい。少しでも違和感を感じた事や何か覚えている事はないかな?」
高山刑事の言葉を聞いて事件の事を最初から思い返してみると、ふと気になる事を思い出した。
「…そういえば。犯人の声を聞いた時にどこかで聞いた事があると感じたんです。でも自信はないし俺の勘違いかも」
俺の言葉を聞いて高山刑事と池田刑事が顔を見合わせていた。そして、何かを俺の目の前に差し出した。
「この花を知っていますか?オトギリソウという花なんですが」そう言いながら俺の目の前に花の写真を置いた。
花言葉殺人事件 かわうそ @kawa_uso_
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