第13話 未知との出会い
第13話
「エルフの生き残り…?」
ニホン町から帰還し数日後、ソフィリアは万物の神 アクアと出会っていた。理由は他でもない、アウロラに関してである。
「ええ、そうよ。どうやらいるらしいの」
「エルフって確か、数千年前の
天界では多種多様な生物が共存している。神、天使、人間など。その他の種族も以前は生息していたが
その中でもエルフは数千年間、観測することが出来なかったため既に絶滅していると考えられていた。
「まぁ噂だから気にしなくていいかもだけど、エリンの森にいるらしいって噂よ」
「エリンの森…ですか」
エリンの森とは天界でも屈指の怪しさを誇る森林である。そのため、殆どの住民は傍に近寄らず騎士達ですら足を踏み入れようとはしなかった。そこには未知の生物が存在でいるという噂も飛び交っているが、本当の所は誰も分からない。
「まぁ本当に困ってるなら探す価値はあるんじゃないかしら、エルフって超優秀民族だしね」
「確かにそうですね、アクア様が来て頂ければ心配無用なのですが…」
「私はパス」
ソフィリアの声に被せるように食い気味に答えた。
「まぁなんとなく分かってましたよ」
「面倒くさいし、なんだったら私より適任がいるじゃない」
アクアは気だるそうに、ソフィリアの後方を指さした。
ソフィリアはそっと後ろを振り向くと、咄嗟に頭を隠す仕草をする可愛らしい女神が佇んでいた。
「アテラ様…ここで何を」
「い、いやぁソフィ…偶然じゃな」
何か後ろめたいことでもあるのか、アテラの顔から大量の汗が噴き出し始めた。
「いつからそこに?そしてどうしてここに?」
「い、いやほんと偶然だって…」
あくまでも偶然出会ったという主張を貫き通そうとするアテラを強く睨みつける。
「ひっ、実は余、数年前にエリンの森に入ったことがあってな…なにか役に立てることがあるんじゃないかなーと」
少女は恋する乙女のような表情で身体をくねくねと動かしながらそう答えた。
「え、それならそうと早く言ってください。時間が無いので早く行きましょう」
テキパキと準備を始めるソフィリアに目を丸くしながらアテラは呆気に取られた。
「いつもみたいに気持ち悪いって言われるとばかり」
「アテラ様の中での私ってどんなイメージなんですか…」
実際、今回ばかりはアテラの奇行もある程度許せるほど大きな収穫であるため多少の事は目を瞑るつもりである。
と、言っているそばから唇を尖らせ、頬を赤らめながら迫るアテラに肘打ちをかます。
「それじゃ、私は戻るわ」
「あ、アクア様…ロータス様にも一応今回のことをお伝えください」
「は、なんで私が?」
アクアは如何にも嫌そうな剣幕でソフィリアを睨みつけた。
「そこはアクア様が適任だと思いますので」
「っ、ほんと嫌な女ね」
ソフィリアの冷ややかな微笑に屈したのか、アクアはそれ以上何も言わず、その場から立ち去った。
同時にソフィリアとアテラはエリンの森へと足を運ばせるのであった。
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