愛しい君と流星雨
「私たち日頃の行いが良いんですっ!
神様だって、ちゃんとみてくれてますぅ!」
そう言って、生徒達は元気な笑顔で答えてくれたよ。
今日は七夕…そう、7月
今は『天文同好会』の
例年であれば、肌を舐め回す鬱陶しい湿気に悩まされ、曇天の空を眺める日々が続く時期なんだけれど…どうやら同好会の生徒諸君は日頃の行いが本当にヨロシイようで、綺麗な星空が全天を覆い尽くしている。
街の喧騒から離れ、小高い丘の上から眺める星空は『新月』も重なり、それこそ『星の降ってきそうな』までのキラキラ夜空となっている。
昨晩から梅雨も小休止をしてくれたおかげで、頬を
えっ?天文観測中に手紙を書く暇が有るのか!だって?
大丈夫さ、引率してきた生徒達は星空を観察しながら『彦星と織姫』のメロドラマにご執心の真っ最中だからね。
しかし、今年の七夕はびっくりするぐらいの快晴だよ。
そうだねぇ、君と見上げた七夕の空は、いつも雨天曇天のオンパレードだったからねぇ。
だから、この時期のデートコースには『プラネタリウム』が鉄板だったよね?
おかげさんで、僕もすっかり夜空の星の虜になってしまったんだよね。
もっとも、それが講じての『天文同好会の顧問』なんだけど…正直なところ、お嬢さん達のお守りは勘弁して欲しいところだよ。
あははは、鼻の下を伸ばしているようにも見えるのかな?何だか君がご立腹のような気がするよ。
まあね、否定は出来ないけれど、『恋に恋するお年頃』のお嬢さん達では僕の相手は務まらないかな?
だってそうじゃないか?
自慢じゃないけれど、脂の載った中年オヤジに惚れるような奇特な少女が居るとは到底思えないんだけどね?
君も納得出来るだろ?
ん?ちょっと生徒達が騒ぎ出したようだけど、何があっ…。
すまない、びっくりするほどの流れ星が全天を覆っているんだよ。
いつか『プラネタリウム』で君と見ていた『流星雨』が、僕たちの頭の上に降り注いでいるんだ。
ああ、生徒達が
そうだね、彼女達の前途に『多幸有れ』と祈らないといけないね。
まあ、彼女達なら、きっと幸多い人生を送ってくれるだろうさ…何せ彼女達の行動力と決断力には舌を巻くところがあるからね。
そうか…きっと君も今、この『流星雨』を見上げているだろうね。
よかったら、その感動を僕にも教えてくれないかな?
おっと、生徒達がこちらの方にやって来る…『天文同好会』の活動としては大成功になったようだよ。
それじゃぁ~ね。
君の感動した光景を是非教えてくれよ?
それじゃ。
愛しい君へ
変わらぬ想いと共に
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