三百十羽 ☆ リュリュエル、相談!

「もな〜。なんとか全員の旅の用意ができたもな」


「毒気を抜かれて呆けたような軍隊と話をつけて帰らせて。

呪縛が解けた獣人たちを保護して、仲間に迎え入れて。

ほんっと! 大変だったわね!」


「ミノコ様のミルクなオーラがぜ〜んぶ解決しちゃいましたね!

それと、いつの間にかカスでクズさんもいなくなってましたね?」

「あいつが騒ぎの原因のひとりなんでしょうけどね」

「いまは気にしてもしょうがないもな」


「ケモナ……」

「ミノコ? そんなに泣きそうな顔してどうしたもな?」


「俺の……俺のこと……俺がいた村の人たち……

みんな知らないって言うんだ……

かあちゃんも、ねえちゃんも……いないし……

ていうかさ、どんな顔してたっけ?

どういうことだし……」


「みのこ、だいじょぶ?

よしよしだよ? あーやがいるよ?

ぺろぺろ〜♪」

「うっひゃあああ!?

いつでもぺろぺろ元気だし!

アーヤ……ありがとな」


獣人さんたち「ミノコちゃん! アーヤちゃん! そろそろ出発するわよ」

「今回はだいぶ世話になっちまったな!」

「村のやつらってのは、呪いかなんかで記憶が混乱してるだけだろ!」

「旅をしてるうちに思い出すだろうよ」

「みんな、なにかしら事情を抱えてんだ。元気だせ!」

「アーヤちゃんもちゃんと一緒に来いよ!」

「暴れたらミノコがなんとかするんだろ!」


「みんな……そうだし!

俺にはみんながいるし!

クヨクヨしないで前に進むし!

にいちゃんなら、きっとそう言うに決まってるし!」


「みのこ、げんきになった!

あーや、みのこのことすき〜〜〜!」

「ちょっ!? アーヤ!?

ぺろぺろがぶがぶするなし!

意味わかって言ってるし!?

俺は食いもんじゃないし!?」


ふたりを眺めて大笑いする獣人さんたち!


「さてと!

ケモナはみんなの旅についていくのよね?」

「もちろんもな!」


「アーヤちゃんのこともありますし、ボクたちもついていきますよ!」


「もな〜

……ひとりで充分もな。

それよりも今回は迷惑をかけたもな。

ごめんなさいもな」


「迷惑? 前世のこと?

気にしないでいいわよ。

天使の前世を詮索するのはルール違反よね?

でもさ! 悩んでることがあったら、ちゃんと相談しなさいよね!

わたしもリュリュエルも友だちでしょ!」


「もな〜!」


「あら! 大粒!」

「ケモナが涙ぽろぽろです!

よしよし、いい子いい子ですよ〜。

ぺろぺろしちゃいます?」


「それは遠慮するもな!

ミノコにアーヤも!?

フィスエルもな!?

みんなでもふもふやめろもな〜〜〜!!!」





「それじゃあ、みんなと出発するもな」


「リュリュエル、フィスエル、いろいろありがとな。

俺、アーヤに会えてよかったと思うし。

またなにかあったら助けてくれるとうれしいし。

それとも、もう会えないのか?」


「ケモナにわたしの羽で作ったアミュレットを渡してあるからまた会えるわよ」

「りゅ〜! ふぃ〜!

ふたりもすき〜!

かくしあじ、きらい〜!

またあう! わふん!」


「ボク、うれしょぼんですぅ〜」


「あ! そうそう!

古代のことと、天界のことは話したとおりだから!

ケモナも気をつけてね!」

「わかったもな!」


「皆さん! またお会いしましょう!

バイバイで〜〜〜す!」



「行っちゃったわね。

後ろ姿を見送ってると涙が出そう……

ていうか、リュリュエルが涙でぼろぼろだし!

鼻水、腰までたらしてるし!

ほら! エンジェルハンカチーフ!」


ずび〜〜〜〜〜!!!


「ぬっちゃり!

ねえ。リュエルって誰のことよ?

(なんだか銀髪の姿が頭に鈍く痛む)」


「……そのうちでいいんです?」


「うん……リュリュエル、ふたりになっちゃったわね。

その……ずっといっしょって言ってたけどさ。

あの……どうする?

(永遠って言ってたわよね!? 二回目なんだけど!?)」


「…………」


「リュリュエル?」


「なんだか、いやな予感がしちゃいます……

これはエンジェルギフチュの効果でしょうか?」


「え!? ミーノちゃんになにかあったの!?」


「フィスエル、いっしょに行きますよ!

エンジェルワ〜〜〜プ!」


「いきなり!?

でも! オッケー!!!」



☆☆☆次回新章!☆☆☆

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