三百七羽 ☆ リュリュエル、白衣!

「けも! 闇で攻撃された獣人たちにも闇が広がって同じようになってるもな!」


「頭、痛った〜!

頭ががんがんするし、気持ち悪い!

わたし、なんか変なこと言っちゃってない!?

言ってないわよね!?

ひゃう〜〜〜!

もう! これだから、天酔拳はきらいよ!

そんなこと言ってる場合じゃない!

みんな川に逃げて!」


「なんだし、これ!

アーヤ! やめてくれ!

みんな! 元に戻ってくれし!」


「がう! がああああ!!!」


「ミノコ様の絶叫も虚しく、争いを続けるアーヤちゃんたち!

あれれ? アーヤちゃんがピタッとストップしちゃってます?」


「ぐぅ」

「ふぃわ!? 寝ちゃってますよ!?」

「アーヤちゃん、ことあるごとに寝てるけど、こんなときでも寝ちゃうの!?」

「食欲に睡眠欲……きっとエネルギー消費が激しいもな!」


「やれやれ。

黙って見てればずいぶんとおもしろいことになってるもんだ」


「ふぃわ!? 突然誰です!?」


「天使が加担を始めるものだからどうなるかと思ったもんだが、君たちのお連れのおかげでより楽しい実験となっているもんだから、うっかり顔を出してしまったんだ」


「空飛ぶ白衣の男?」

「つのがあるもな!」


「ふむ。名乗っておこうか。

カース・デクズデースという。

呪いという呪縛でくずのように生を死へと還す研究をしている。

まあ、呪を司る悪魔ということころだ」


「カスでクズさんです?」

ピキ!

「ほんとだ! ウケる!」

ピキピキ!

「もな!」

ピキピキピキ!

額に走る三つの青筋!


「怒ってるもな!?

もなって言っただけもな!」


「いきなり失礼なことを言ってくれるもんだ。

だが、激情にまかせて戦うようなことを研究者はしないもの。

さて、私のことはともかく、いいのだろうか?

お仲間が大変なことになっているようだが?」


「ふぃわ!? 残っていたビビンバをアーヤちゃんの闇の触手が捕食してまた暴れはじめてます!」


「アーヤ! やめろ!

みんなを傷つけるなし!」


「があああああ!」


「闇の影響が広がってひどくなってる!

ケモナ、うしろ! よけて!」


「けも!? 闇の触手に殴られたもな!

!? 心の中に暗い感情がわいてくるもな!?

こ、心が変になるけも!?

……怖い。

……みんながいなくなるのが怖い……。

ケモナを……アニマを一人にしないで!

いやだ! 孤独のまま戦うのはいやだ!

なんでみんな争う!

戦争なんていやだ!

争いなんてやめて、みんな平和に暮らそうよ!

戦争が憎い……

そうだ……憎い……怖い……みんな……みんな嫌いだ……」


「「ケモナ!?」」


「ケモナ? 違う……

ぼくはアニマ・ルグゼ……」


「ふぃわ!? アニマ・ルグゼ様です!?

なんだかそこはかとないお名前です!」


「獣人を、獣を……虐げるものは……

みんなの魂を救わなきゃ!

みんなとひとつに!

来世でもぼくといっしょに生きよう!

そのためには……

邪魔をするな〜〜〜!」


獣人さんや人族さんたちにウイングソードをふるうケモナ!

尖鼠トガリネズミの痺れ毒剣の攻撃で倒れる皆さんですが、ほどなく立ち上がるほどの闇の支配!

ここでチラッと脱線です!

トガリネズミはとあるチッキュウのニポーンにも生息しているモグラさんの仲間!

哺乳類では珍しく毒もほんとにあるそうです!


「お前もぼくを孤独にするの?

みんな死んじゃえ!」


フィスエルに向かって振るわれる、闇をまとったケモナのウイングソード!


「フィスエル、よけてください!」

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