三百五羽 ☆ リュリュエル、実験!

「なんだか怖い目つきで息が荒いうえに、お体も妙に筋肉が膨張して異様な雰囲気です!

まるで操られているようです!」


「村の仲間って言うけど、あれ狼じゃなくて熊の獣人よ!

獣人違いじゃないの!

それにほかの獣族もいるじゃない!」


「え? あれ? 熊の獣人?

えっと……ああ、そうだ!

俺は小さいころに、その村でひろわれたんだし!

そんなこと、いまはどうでもいいし!

かあちゃん! ねえちゃんはいるのか!?

みんな! 俺だよ!

ほんとの名前は覚えてないから言えないけど、そんな怖い顔しないでくれよ!」


「ミノコ!

襲ってくるもな!

逃げるもな!」


「いやだし!

うわあ!」


「なにやってるのよ! 逃げないなら戦いなさい!

アーヤちゃんを守るんでしょ!」


「でも! だってし!」


「あーやがみのこまもる!

ぐるぐるあーやぱーんち!」


「アーヤ!?

ちくしょう!

戦うしかないのか!?

獣装変化! 人狼の爪ウルブスクロウ!」


はじまる戦い!

人族軍隊の長く伸びた隊列が、逃げようとする獣人さんたちの行手をはばんで!

攻撃してくる獣人さんに対しては、操られているらしい獣人さんを戦わせています!

背後は巨大な大河と大瀑布にはばまれて!

浮島はもはや、大きな炎で燃え上がって!

逃げ場のない争いに、戦えない獣人の女性やお子ちゃまは悲鳴を上げるばかりです!


「あいつら獣人にばかり戦わせて、どういうつもりよ!」

「まるでなにかを試してるみたいもな!」


「きっとなにかありますエンジェリックア〜〜〜イ!

ふわ! 獣人の皆さんに強力な隷属の呪いと、戦闘に特化した狂化に強化の呪いが施されちゃってます!

しかも、魔法と薬品を併用した不完全な呪いのようです!

まるで人体実験な獣人モルモット!

ケモナが言っていた怪しいけど分からない実験とは、このことじゃないでしょうか!?」


「きっとそうもな!」

「つまり実験の成果を試すために、同じ獣人族を相手にさせてるってわけ?」

「運用実験に獣人狩りに魔族の協力者排除に一石三鳥ですね!」


「なんだって!?

俺たち獣人のことをなんだと思ってるんだし!

許せない!

みんなを助けたい!」


「「「もちろんもな(よ)(です)!」」」


「間違っても殺すわけにはいかないわ!

フィスエル流奥義! 天酔拳!

う〜ん……ひっく!」


「ふぇわ!? ふらふら! よれよれ!

おめめがすわって真っ赤っか!

フィスエルが酔いどれ天使さんになっちゃいました!?」


「あんまり好きな拳じゃないけど!

泥酔させて無力化するわよ!

ひっく!」


「もな! ケモナもやるもな!

獣剣奥義発動!

エンジェルケモナ〜ウイングソード!」


「ケモナが大人マッチョにメタモルしてません!

マスコットな姿のまま、かわいいネズミっぽくメタモルしてウイングソードで戦いはじめちゃいました!

どういうことでしょう!」

(マッチョなケモナは六十九羽を参照してください!)

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