三百四羽 ☆ リュリュエル、勝手!

獣人たち「人族よ!」

「火を消せ〜!」

「子どもたちを守って!」

「どうやってこの場所がわかったんだ!?」

「係留ロープを切れ! 浮島を向こう岸に移動するぞ!」

「ダメだ! 火の回りが早い! 陸に上がるしかないぞ!」


「奴隷狩りだし! ちくしょう!

こんなとこまできやがって!

俺たちをどこまで追い詰めれば気が済むんだし!」


「ふぃわわわ!?

陸地側から人族の軍隊が火矢を放ってます!」


「軍隊!? 国が関係してるの!?」

「国家規模で奴隷狩りをしてるもな!」


「ふ〜ん……ずいぶん好き勝手するのね?

こうなったらほっとけないじゃない?」


「フィスエルがすっごい殺る気満々なお顔、羽の拳でゴキゴキしてます!

とっても好戦的でまるで元ヤン女子!」


「違うわよ!?」


「けも!? 直接介入はダメもな!」


「なによ。エンジェルリミッター解除できないのに、ケモナだっていつも直接介入しまくりじゃない!

ミノコちゃんたちのことも放っておけないんでしょ!」

「もな〜。それを言われるとぐうの音も出ないもな」


「それにね、わたしはもういいのよ。

リミッター制限もないし、エンジェル懐中時計の機能も全部壊れてるし。

ちょっといろいろあって天界のことも見直さないといけないみたいだし?

とりあえずだけどさ。目の前の助けられるものは助けることにしたの!」


「なにをごちゃごちゃ言ってるんだし!

俺は戦う!

ケモナたちも戦ってくれるよな!」


「もちろんよ! やりたい放題やっちゃうわよ!」


「ほんとは戦ってほしくないけど、しょうがないもな」

「ん〜〜〜? ボクはお子ちゃまたちをなんとかしちゃいますね?」


「わふわふ! あーやもみのこといっしょ!」


「アーヤちゃんは戦わせたらダメじゃない!?

魔王の卵が暴走しちゃうわよ!」


「リュリュエルが見ててほしいもな」


「わかりました!

アーヤちゃん! ボクといっしょにもふもふお子ちゃまたちを守りましょう!

上手にできたらボクの手料理をごちそうしちゃいますよ!」


「わふ? りゅ〜のごはん?

ぶるぶる! うぇ〜〜〜。

ぺろぺろいらな〜い! がふ!」


「あ! アーヤ! 勝手に走り出すな!

俺も行くし!」

「ボク、しょんぼりですぅ〜」


「しょうがないわね。

暴走したらさっきみたいにミノコちゃんになんとかしてもらうしかなさそうね?」

「しっかりサポートするもな!」


陸地で隊列を組む人族の間から、獣人の皆さんにとって見慣れたお姿がどんどんと現れます!


「あれは……獣人だし!

? あいつら見覚えがある……俺が育った村の獣人たち!?

みんな生きてたんだ!

でも……武器を持ってたり、獣装変化で強化してたり……苦しそうで、なんか様子がおかしいし!?」

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