三百二羽 ☆ リュリュエル、不思議!
「俺? 俺は、ミルキーノーブルコートフェンリルっていう種族らしいんだ。
俺をひろってくれたにいちゃんに教えてもらった。
名前もにいちゃんが付けてくれたんだけど、もっとかっこいい名前がよかった!」
「ミルキーノーブルコートフェンリル?
それでミノコちゃんなの。
でも聞いたこともない種族ね?
柔らかい雰囲気からして犬かと思ってた」
「狼を犬といっしょにしないで!?
俺にも狼のプライドがあるし!」
「かなり珍しい種族もな。
ケモナもはじめてもな」
「とっても気になりますエンジェリックア〜〜〜イ!
ん〜〜〜?
称号もスキルもなにもないような?
なにかあるような?
さっぱり分かりません!」
「あんたの天使の眼でも全然分からないのね?
よっぽどなにかがあるのか、逆になんにもないのかしら?
でも、あの乳白色の光は異質よね?」
「まるで闇をまろやかに中和してるようだったもな」
「ミノコちゃんがいれば、とりあえず安心なのかしら?
ところで、ユウくんやミャミュウ、ぽん丸ちゃんたち勇者一行はどうしたの?」
「けも!
魔王を探すには別行動した方がいいって、三手に分かれてばらばらに行動してるもな〜」
「そうなんだ……組み合わせがすっごい気になる!」
「皆さんにしばらくお会いしてないので、ボクさみしいですぅ〜!」
「がぶがぶ♪ もっと〜♪
ぺろぺろ〜♪」
「よだれ臭っ!
闇がもれてる!
もう好きにするし!
アーヤの食欲がすごすぎるし!」
水上集落の獣人さんたち「ビビンバにラザニア、うまかったよ!」
「エヴァーナル川の主を倒すなんて、新入りの嬢ちゃんやるなあ!」
「ミノコはイマイチだったけどな!」
「アーヤちゃんていうのかい。よろしくね!」
「ミノコの彼女か? お似合いだな!」
「そんなんじゃねーし!」
「わふ♪ だっこ♪
ぺろぺろもっと〜♪」
にまにまする獣人さんたち。
「いや、だから違うし〜!」
「わたしもおいしいとは思ったけど、なんだかずいぶん好評みたいじゃない?」
「ケモナは丸焼きだったら上手においしくできるもな!」
「ボクもお料理したかったですぅ〜」
「あんたは二度と作らんでいいわ!
大体、いつもいつも隠し味がめちゃくちゃでひどすぎるのよ!」
「ふわ? 隠し味といえば毒や針を入れるのが普通ですよね?」
「けも!?」
「普通ってどういうこと!?
(……不思議そうな顔……え? 前からおかしいとは思ってたけど、ほんとに普通だと思ってる? 毒が? それって……)」
「この集落は、獣人さんだけなんですね?
たくさんいらっしゃるようですが、種族もばらばらみたいですね!」
「そ、そうね。まるで逃げてきたみたいな雰囲気だわ」
「みんなつらい思いをして逃げてきたもな。
子どもたちが笑って遊んでるのが救いもな。
ここは行き場をなくした獣人たちの秘密の隠れ場になってるもな」
「ミャミュウのいた世界みたいに、やっぱりこの世界でも獣人がひどい目にあってるの?」
「ひどい目? そんなもんじゃない!
人族のやつら、獣人なんてゴミ程度にしか思ってないんだ!
俺の生まれた村だって獣人狩りにあったし!
さからった大人たちはみんな殺されたんだ!」
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