二百九十七羽 ☆ リュリュエル、獲物!
「うわ!? 骨魚の口からなんか出てきたし!?」
「ん〜。鋭くて長い歯が邪魔ですね!
防御な感じで体当たりです!」
ばきぼき!
「うそ!? なんでも咬み砕くラザニアの鋭い歯が折れてるし!?」
「ちょっといいかげん、抱き続けるのやめて〜〜〜!」
「リュリュエルにフィスエルもな!?
焼き魚に丸ごと食べられてたもな!?」
「ケモナじゃない! 久しぶりね!
食べられてたわけじゃないけど、ここどこよ!?」
「ふぅわ!
なんて素晴らしい景色でしょう!
向こう岸がかすむくらいの大河!
そして大量の水が流れ落ちる大轟音!
川の端から端まですべて滝!
水が流れ落ちる絶壁には、緑いっぱいな陸地がせりだしてるところもありますね!
なんという自然が織りなす壮大な大瀑布!」
「水の落ちる音がめちゃくちゃうるさいけど、圧巻の絶景ね。
流れが穏やかな水上に係留されて家が浮いてる……ていうか草で作った浮島に草の家を建ててるのね?
あちこちで煙があがって、いろんな獣人たちがお昼の準備をしてるわ……
人族はいなさそう?
あ! リュリュエル! いたわよ!
気持ちよさそうに寝返りうってる!
寝言でぺろぺろして、かわいい!」
「ふぃわ! ぺろぺろ大発見ですね!
ボクもいっしょに丸まってお昼寝したいです!」
「え? このぺろぺろ黒狼女の知り合い?
ケモナも知ってるのか!」
「天使の仲間もな。
それより、この暗黒フェンリル獣人の子はどうしたもな?
強力な闇が感じられて……いや、闇そのものみたいな感じもな」
「さすがケモナ。
獣のことなら普通に見ただけでわかるのね?
アイちゃんて魔導研究者の話からすると、混沌の闇から集積した意識体が暗黒フェンリルに憑依して獣人化、魔王の卵として覚醒するはずだった存在らしいのよね?
いろいろあって、この子を支配する闇の意識体が捕食されたことで落ち着いてはいるみたいなの」
「魔王の卵もな!?
それは……そうもなね」
「わっふ〜!
おなか、すいた!」
「起き抜けに腹へったってどういうこと!
俺が獲ったラザニア、まるごと全部食べたし!?
俺も腹へった〜!」
「ケモナもはらぺこもな!」
ドバッシャーーーーーン!!!
「川からとんでもなく巨大ななにかが飛び出して、大雨スコールのようです!」
「エヴァーナル川の主、ビリビリコンバットイール、略してビビンバだ!
俺の獲物!」
「つまり、でっかい暴れ電気うなぎもな!」
「いつものことだけど、名前の略し方がおかしすぎるわ!」
「ふぃわわわ!?
とってもニョロっと太くて長いビビンバさんがビリビリ放電!
ぷかりと水面に浮いたラザニアなどを次々飲み込んでいきます!
皆さんご存知ですか!
電気うなぎはナマズに近いお魚さんなんですよ!」
「うわ〜、でっかい!
生物の授業で習ったわね!
なつかしいわ。ティーチエル先生、元気かしら?
あんた寝てばっかりじゃなかったっけ?」
「くんくん……わふキラーン!
でかい、えもの、いいにおい、ぺろぺろする!
かる!!!」
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