二百九十五羽 ☆ リュリュエル、永遠!

ぎゃおおおおおおおおおおおお!

空に向かって激怒な咆哮ですが!

アクアレーザーショットなブレスがちょろっと!


「だいぶ弱っているようですね!」

「ミジウノくん! 支配の龍笛を使うチャンスよ!」


「まかせるんじゃ!」


ピ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!


大暴れが嘘のようにおとなしく!


「激に怒だった海龍ミーノ様の眼差しが、愛する者を見つめるようです!

穏やかに瞳が閉じられて、大きな体があっという間に人化して落下しています!」


「いかん! 全速前進!」


「ミーノ様をしっかりキャッチする、若々しいお姿のイケメン海賊船長なミジウノ様!」

「顔面偏差値が高すぎるわ!」


「ミーノが殺しちゃったんだね……

いつもごめんね。ありがとう。

てへぺろこつん♪」


「ミーノ!? 思い出して!?

眠ってしもうた……」


「てへぺろこつんか。

……儚い笑顔が悲しいわね。

幽霊海賊船だけあって、空飛ぶわ、とんでもない速度だわ。

もうめちゃくちゃよ」




離れた空で見守る半透明で泡なボディのシーバ様。


「わたしのミーノ……

しばらくミジウノじいさんにまかせるじゃないかい。

さて、わたしはどうしたらいいんじゃないかい?」


竪琴な神器を揺らぐ瞳で見つめて飛び去ります。




〜ほぼひと月後


海底洞窟に隠された幽霊海賊船の船長室。


「ミーノちゃんたら、目を覚まさないわね?

それにイケメン海賊なミジウノくん、またおじいちゃんに戻ってる」

「顔なんぞどうでもいいわい」


「ミジウノ様。ミーノ様は孫娘じゃないんです?」

「……そうじゃの。まあ、ミーノの記憶が戻ることがあれば話してやってもいいが。いつ起きるやら。

以前に海底神殿の中で我を忘れて暴れたあとも、しばらく目覚めんかったしの。

シーバのやつめ。

悪魔じゃったこと、すっかり忘れとったわい」


「竪琴はどうするのよ?

神器を悪用されたらまずいでしょ?」


「まったくじゃ。

かといって、寝たままのミーノも放っておけん。

シーバの目的はミーノでもあるんじゃよ。

最初は魔王の手勢に欲しいと言っとったが、シーバの色ボケのおかげで無駄に時間を過ごしておったようじゃがの」


「ん〜〜〜? そういえばヒレカツさんやフカスシさんなど、巨大モンスターが魔王軍の配下になってることがありますね?」


「わしが死んでなければよかったんじゃが……まったく悪魔なんぞ、なにを考えとるのか分からん」


「なんだかとってもよく分かりますぅ」


「シーバも海軍も特に動きはないようじゃしの。

神器は心配じゃが、しばらく様子を見ることにするとしよう。

これではまだまだ成仏できんわい。

お前らだってやることがあるじゃろ?

もう帰れ」


「そうね。いつまでもここにいるのもね」


「……フィスエル。

ミーノ様にエンジェルギフチュをしてもいいです?」


「ひゃわ!? ギフチュ!? なんで!?

ど、どうして、わたしに聞くのよ!?」


「エンジェルギフチュの効果で、もしものピンチに駆けつけられます。

でも、ボクが目の前でそんなことしたらフィスエルはいやですよね?」


「べ、べべべ、別に嫌じゃないし!

……ど、どこに……するの?」


「おててなんかどうでしょう!」

「そ、それなら……いいんじゃない?」


「それではさっそく!

エンジェ〜〜〜ルギフチュ!」


顔を背けるフィスエル!


「(なんかもやもやする……ていうか、腹立つ!)

そ、そういえばさ。古代から戻ってきてから天界に戻ってないわよね?

一回戻ろうかしら?

あ! エンジェル懐中時計に通知が入ってる!

え〜と、暗証番号入力っと……

『天界に戻るべからず。クイっとキラ〜ンな事務員より。なお、この通知は自動削除プログラムにより直ちに消滅、エンジェル懐中時計の機能をすべて破壊する』って、なによこれ?」


エンジェル懐中時計から、ボフッと煙があがってます!


「……フィスエル。天界にはいかないでください!」

「へ? なんでよ?」


「そんなことより、ボクとずっと永遠にいっしょにいてください!」


「ひゃわ!? ずっと!? 永遠!?

(それって……まさかプロポーズ!?)

す、すぐに抱きつかないでよ!

……アーヤちゃん!

アーヤちゃん、あんたのエンジェルバッグに入ったまま出てこないじゃない!」


「ふわ? そういえばエンジェ〜〜〜ルバッグ!

ん〜〜〜? いませんね?

あれれ? バッグの中、亜空間に穴が開いてます!

どうやらこの穴からどこかへ行ってしまったようですね!」


「えええ!? バッグの中に穴!?

どういうことよ!?」

「どうもこうもないです!

フィスエル、穴の向こうに行きますよ!

とう!」


「抱きついたまま連れてくな〜〜〜!」


「消えおった。

まったくあわただしいやつらじゃわい」



☆☆☆次回新章!☆☆☆

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