二百九十一羽 ☆ リュリュエル、記憶!
「ふぃわ!?
ミーノ様からすさまじい聖なる覇気があふれています!」
「聖力にあてられる!?
気が遠くなりそうよ!」
「魔神様の封印が解ける!?
やばいじゃないかい!」
「ミーノ! そうじゃ!
封印を解いてしまうんじゃ!
元の自分を取り戻すんじゃ!
……いや! なんかやばい気がする!
やっぱりだめじゃ!」
「神器を返せ……」
「ふぅわ! ミーノ様のぴちぴちお肌がうろこに変化していきます!
泡をつかむ指先に鋭い爪が伸びて、バブルを斬り裂いちゃいました!」
びった〜〜〜ん!
バキバキ!
「ふぅわ〜おぅ!
ミーノ様の魅惑のふるふるおしりから!
長くて太いうろこで尾びれなしっぽが、激しく床を叩いて破壊しています!
龍人! ドラゴノイドです!」
(海賊な衣が微妙におしりを隠してます!)
ドリュ!
「人魚よりもずっと速い!
蛇みたいな泳ぎ!」
「宝物庫の出口に!
こ、こりゃまずいじゃないかい!
もしかしてわたしのミーノったら、失った記憶も思い出してるんじゃないかい?
ほら! ミーノが漂流していた前日! あの大嵐の日とかどうだい!?」
「記憶……う、うう。
そう……大嵐のあの日……おじいちゃんたちが死んだのはミーノのせい?」
「その通りじゃないかい!
ミーノが心を無くして大暴れしたせいで、ミジウノ大海賊団が壊滅したんじゃないかい!
だから、龍の力を鎮めるんじゃないかい!」
「なんじゃと!? わしらがミーノに!?
思い出せんが……そんなことミーノがするわけなかろう!
惑わされるでない!
シーバ! お前、わしのいない間にミーノにあれこれないこと吹き込んどるんじゃな!」
「なんのことだい?
かわいいミーノをわたしのものにしたいだけじゃないかい!
ミーノ! ミジウノたちを殺すような力は使っちゃいけないんじゃないかい!」
「おじいちゃんたちを……ミーノの力が殺した?」
頭を抱えて苦しそうにしゃがむミーノ様!
「いまがチャンスじゃないかい!
バブリーバインドリング!」
「ミーノ様が五つの泡のリングで拘束されています!」
「おじいちゃんをミーノが?
ううう……」
「少しは時間が稼げるじゃないかい?
かわいそうなわたしのミーノ。
わたしが逃げたあとにでも大暴れしてもらおうじゃないかい?」
「ちょっと! 苦しんでるミーノちゃんに近づくんじゃないわよ!
泡の勢いが弱くなってるいまがチャンス!
……我が発する言の葉は 我が力へと昇華するものなり
聖なる大海よ 母なる魂よ 我が拳に宿りて 我が天力と成せ!
天勁拳極意、双聖双龍掌!」
流麗な掌底の数々が泡を打つ!
左右に向けて同時に放つ拳と羽の掌底!
「割れた!」
「やるじゃないかい。でも遅いんじゃないかい?」
「シーバ! 待て! 何をするんじゃ!
まさか……やめろ! やめるんじゃ!」
「好きにはさせないわ!
エンジェルフィストソニックスター!」
「バブルロック!」
「きゃあ!?」
「危ないことをするなじゃないかい!」
新たに生まれた泡が、水中では音速にほど遠い拳の一撃にぶつかってフィスエルを包みます!
「ミーノの敏感なところは熟知してるんじゃないかい?
封印はされても、決して魔神様の支配に屈しなかったわたしのミーノ。
大暴れしておとなしくなったら、また魔神様にお願いして記憶の封印をしっかりしてあげようじゃないかい?
でもそうすると、魔神様にミーノを献上することになるねえ?
そしたらあわあわデートができなくなっちゃうじゃないかい?
それは嫌じゃないかい!」
苦しんでいるミーノ様の胸の谷間に指を差し込むシーバ様!
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