二百八十六羽 ☆ リュリュエル、神域!
「世界を危険にするほどの海の秘宝?
もしかして<海荒れる 凪そよぐ 調べ>みたいなものじゃないでしょうね?」
「ふぃわ!? ボクの秘宝ですね!」
「あんたのじゃない! 人魚姫のマリンちゃんのでしょ!」
「なんと! お主ら知っとるのか!
二つ目が発見されとるのか!?
なんてことじゃ!」
「二つ目だって? やっぱり知ってるんじゃないかい!
この海底神殿に秘宝があるんじゃないかい!?」
「おっといかん。
びっくりするあまり、うっかり口がすべってしもうた」
「おじいちゃん、二つ目って秘宝がいっぱいあるの!?」
「知らん!」
「ですが、船乗りゴーストさんたちは、首を振ってあるぞ知ってるぞみたいなジェスチャーしちゃってますよ?」
「ほんとだ! 危険なものなら嫌だけど……
ミーノ知りたい!
記憶が戻るかも知れないし!
おじいちゃん、知ってるなら教えて!」
「お前ら船長の意向を無視すんじゃないわ!
記憶か……しょうがないのう。少しくらいは話してやろうかの。
秘宝、つまり神器のことを。
ついてくるんじゃ」
「ふっわ〜おぅ!
熱々海水と海底隆起で崩れた神殿の最深部に現れたのは!
広々として荘厳、シンカイートシーの海底神殿とおんなじです!」
「シーバ! どうしたの? 入っておいでよ!」
「外からテンテンみたいな魔物が来ないか見張ってることにしたんじゃないかい?」
「? 変なシーバ。
なんだろう? ここも懐かしい感じがするのよね?」
「ふ〜ん。海底神殿の奥にある人魚の王族しか入れないっていう神域と同じような場所ね?
ここにはそういう制約はないのかしら?
それに、なんで天蓋カーテンがあったりするの?
大きすぎるしボロボロだけど、まるで寝所みたい?
シンカイートシーの海底神殿にはわたしは行ってないからここと同じかなんて知らないけど」
「朽ちた神殿じゃ。そういう機能は失われとる。
おかげでゴーストのわしらも入れるしの」
「聖力もかすかに感じられる程度だしね」
「そ、そうなのかい? じゃあわたしも入ってみようじゃないかい?」
「なんか怪しいこと、この上ないわね?」
「壁に刻まれたレリーフを見てみい」
「神聖文字じゃないかい!」
「しかもいまは使われていない古代神聖文字じゃない。
あちこち崩れていて読めないわよ?」
「創世? 破壊?
う〜ん、崩れてるだけじゃなくてずれてるみたい?
文章になってないけど、ミーノ、少しなら読めるみたい」
「え!? ミーノちゃん、これが読めるの!?」
「ちょいとあれこれあっての。外壁もろとも壊れてしもうたんじゃ」
「ミーノ様、読めるなんてすごいですね!
ん〜〜〜? ボクも読めませんが、なにやら気になりますね!」
「さすがわたしのミーノ!」
「抱きついてまさぐるんじゃないわよ!
殴るぞこら!」
「もう、タコ殴りにされてるじゃないかい!?
少しくらい、いいじゃないかい!」
「いいわけあるか!」
「リュリュエル……あんたまで、怪しい目つきで手をわきわきするのやめてくんない!?」
「フィスエル、お顔が真っ赤でかわいいです!
ほんとにハグしなくていいんですか?」
「ひゃわ!? し、しなくていいわよ!
するな! くっつくな! ひゃうぅ〜〜〜!」
「お前ら、ここに何しに来たんじゃ?
話しを聞かんでいいんならわしゃ帰るぞ?」
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