二百四十二羽 ☆ リュリュエル、秘宝!

「ふっわ〜〜〜〜〜!!!

なんて広い空間でしょう!

ここはかつて神域と言われた聖なる地ではないでしょうか?

構造こそ違いますが、シンカーイトシーの神殿と雰囲気がそっくりです!

ということはお宝はもしや!

秘宝<海荒れる 凪そよぐ 調べ>ではないでしょうか!?

今度こそボクが吹いてみたいです!」

(三十七羽と百三十五羽を参照してください!)


「秘宝だって? ……秘宝ね!

なんだか腹が立ってきたじゃないかい!」

「ふえ? シーバ様、なんでです?」


「なんでもないじゃないかい!

そんなことよりも、広いだけで何にもないんじゃないかい?」


「ところでさ……ここまでの冒険は!?

あっさりすぎない!? ロマンは!?」


「だからぁ、なんにもないってぇ。

言ったよねぇ?」


「ミーノ、つまんな〜い。

でも、なんだろ?

ミーノ、ここにいると、なんか変な気分。

……もしかして昔にいたっていう海龍の寝床だったり?

そのあたりから、ギャオ〜って飛び出してくるかもよ!」

「きゅう〜〜〜!」


「ふぃわ!?

驚かさないでください〜!

ボクは怖いお話はきらいなんです!」


「ちょっと! 怖いからって、いちいちおしりをつかむのやめてくんない!?」

「てへぺろ!」


「「いいなあ……それ」」

「シーバもラメールも手をわきわきするな!

リュリュエル、いつまでもつかんでるな!

ミーノのおしりから手を離して!」


「でも、よく分かったなぁ。ここって海龍のリビングだったらしいよぉ?

子どものころは肝試しにちょうど良くてぇ。

海龍の幽霊とか出るかもなぁ!

ほらそこにぃ!」


「へ? みゃあああああああ!?」


「ミーノ様、泡ふいて気絶してます!

まるで海猫獣ウミネコのような叫び声!」


「あれぇ? ほんとに出たぁ?

船乗りの幽霊がいるよぉ?」


「ミーノは幽霊が大の苦手じゃないかい。

いまのうちにミーノを堪能するじゃないかい♡」


「幽霊がミーノちゃんにまとわりついてるけど、ほっといていいのぉ?」


「なんだか荒くれ水夫な感じの幽霊さんですが、にこにこ笑顔で害はなさそうですね!」


ぎょえぇ〜〜〜〜〜!!!


「ふぃわわわわわ!?

突然の奇怪な叫び声!

ボクは怖いお話は嫌いですが、本物の幽霊なら大丈夫ですよ!」


「は!? ミーノのおしりに手をのばすな!

シーバ、殺す!」

「安らぐじゃないかい♡」

「だって安心なんですぅ」

「ミーノのおしりは避難所か!」

「きゅ!」


「幽霊はもう大丈夫なのかい?」

「みゃああああああああああ!」


「またも気絶しちゃってます!

ふぃわ!? そんなことしてる場合じゃないです!

まわりを見てください!」


「おいおい! あちこちから巨大なテンテンがいっぱいじゃないかい!

どこかに隙間でもあるのかい!?

あっという間に囲まれちゃってるじゃないかい!

わたしのミーノ! 起きないとぺろぺろするけど、いいんじゃないかい!」


「殴るわよ!」

「もう殴ってるじゃないかい!?」


「こんなとこにテンテン!?

一度もこのあたりに現れたことないのにぃ!

村のみんなや魚たち、大丈夫かなぁ!?

もしかしてミーノちゃんたちが連れてきたんじゃないぃぃ!?」


「「「ピ〜ピピ〜ピ〜♪」」」

「きゅぴぴ〜♪」

「みんなそろって口笛!? 図星ぃぃぃ!?」

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