二百八十羽 ☆ リュリュエル、悠久!
「マオ様、とうとう行ってしまわれるのですか!?」
「がう!?」
「何度も話したとおり、俺は魔王じゃないし、ずっと未来からきたみたいなんだ。
おとなりの勇希ちゃんもきっと元の時代にいる。
助けに行かなきゃ。
だから、アイちゃん……お別れだね」
「そうでございましたわね。
はい、騎士隊や民にもよく言って聞かせております。
王都を守る多重結界も不完全ではありますが、完成しつつあります。
カナリコーダイの史実として、魔王マオ様と天使様たちの功績は後世までしっかりと語り継ぎますわ!」
「魔王として!? すっごい心配!」
「なにもご心配なく……いままで本当にお世話になりました。
アイは……悲しうございます……」
「アイちゃん……」
「まお〜、てふてふが〜、まゆまゆ〜」
「てふてふ?」
「うっわ〜おぅ!
てふてふちゃんの一人が黒いまゆになっちゃってます!
荘厳玉座にしっかりまゆ糸がからまって取れそうもありませんね?」
「どうしよう?
このまま放って行けないよな?」
「てふてふ〜、このまま〜、おいてく〜」
「え? このままでいいの? ほんとに?」
「それでは次元の裂け目に! レッツゴーです!」
「リュリュエル、お別れだってのに、元気ね。
さすがにもう二度と会えないんだし、もうちょっと別れを惜しみましょうよ!
わたしなんて涙が……くすん。
もう無駄乳色ボケ宰相ちゃんを無駄無駄ってからかえないのね」
「最後まで無駄乳色ボケ宰相! がび〜ん!
皆さんお別れですね……はるか未来でのご武運お祈り申し上げております」
「二人で見つめあってるし!
皆さんじゃなくて、マオくん限定よね!?
せ〜まちゃんがぷんぷんよ?
でもまあいいか。
せ〜まちゃんはあずかるわよ。
たっぷりいちゃいちゃして。
リュリュエルにてふてふ、先に行きましょ!
ほら、アーヤちゃんも行くわよ」
「は〜い!」
「がう?」
「てふてふ〜、まおといっしょ〜」
次元の裂け目に入るボクとフィスエルとアーヤちゃんにせ〜まちゃん。
「それじゃあアイちゃん、またね。
ってことはありえないのか。
さよならだね」
「マオ様……せめて、せめて、最後に魔王の証であるつのを!」
「いや、それはなあ」
「ちっ!」
「最後も舌打ちはやめない!?
しょうがないなあ」
「やたっ!」
頭を下げるマオ様に装着される魔王のつの!
「〜〜〜〜〜!!!
魔王マオ様、素敵です!
お姫様抱っこを!
ちゅ〜してください!
正妃にしてください!
えいっ!」
「え〜い」
マオ様にぴょんっと勢いよく飛びつくアイ様とてふてふちゃん!
「え!? うわ!?
アイちゃん!? てふてふ!?」
お姫様抱っこで次元の裂け目に転がる三人!
「これっていいの〜〜〜!!!???」
「いいの〜〜〜?」
「マオ様〜〜〜♡」
やがて時は経ち……
フォレバストと名付けられた新しい森は繁殖と拡大を続け。
多重結界に守られた天宙世界樹もまた、その成長はとどまることなく伸び続けて、天に届かんばかり。
そして複数の人影が……。
「まさか天宙世界樹に出会えようとは!
ここはなんという生命力にあふれた地。
我々、ドライアドにとってこれ以上ない楽園と言えるでしょう」
ドライアドたち「ここがいいです!」
「すっごい素敵!」
「オーリジンサシャエルユウ様! 決まりです!」
ドライアドと友好を交わしたカナリコーダイの民は、森の生命力と最恐暗黒魔獣を産み続けるわずかに残された魔のゆりかごの脅威を前に都を追われることに。
さらに時は経ち……
城も街も遺跡と呼ばれるようになったころ……
しばらく離れた地にも、数多くの妖精たちと妖精女王が住まう妖精郷が生まれることに。
そして黒いまゆが割れ、おなかをすかせたてふてふちゃんが一人、目覚める。
さらに魔王の配下、地獄の番猫ケルベロキャットも現れて……ボクたちが!
永い永い時をかけて大森林フォレバストと、その後斬り倒した天宙世界樹が悠久の時を経たことを!
ボクたちは!
知っりませ〜〜〜ん!!!
☆☆☆次回新章!☆☆☆
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