二百七十羽 ☆ リュリュエル、卵!

「わかりました!

民を守って!

魔王マオ様のお役に立って!

正妃になってみせますわ!」


「正妃!? 俺の話、聞いてる!?」

「無駄乳色ボケ宰相が別の目的のためにがんばろうとしてるわよ!?」


「無駄乳色ボケ宰相!? がび〜ん!」

「そこは聞いてるの!?

もういいからうまくやって!」


「そうです! うまくいけばなんでもいいんで〜す!」


無限砂魔法杖エターナルデザートロッドをふりふり♪

たぷたぷお胸もふりふり♪

構築される幾何学魔法陣♪


「我は要 我が虚いを砂の依代に宿せ

サンドポゼッションゴーレム!」


ばったん!

ごっちん!


「アイちゃんが倒れた!

でっかいたんこぶ! めちゃくちゃ頭打ってるぞ!?」


「うっわ〜お〜〜〜!

アイ様のイメージそのままなスタイルの巨大砂人形が数百体も成形されていきます!

砦を守るような隊列を組みつつ!

森林のあちこちにいる魔獣たちの眼前にも出現しています!

最恐暗黒魔獣の集団バーサス巨大アイちゃん砂人形たちの壮大スペクタルな大決戦がはじまっちゃいました!」


狼、虎、熊、狐、猪、猿、蜘蛛、昆虫!

その他いっぱいたくさん盛りだくさん!


「砂人形たちは樹木をぶっこぬいて武器にしたり、大岩を投げつけたり、砂が魔獣にまとわりついて締めつけたりして倒していくわ!

戦力も申し分なくて大活躍ね!

あれって一体一体にアイちゃんの精神体が憑依してるのかしら?」


「無駄にたぷんたぷんしてるのは気のせい!?

見応えたっぷり! 無駄もいい!」


「マオくん、たまに口走るわよね?

アイちゃん本体の顔が真っ赤になったわよ。

マオくんにお姫様抱っこされて、にへら〜ってだらしない顔。

白目むいて意識がないはずなのに、聞こえてるのか、よっぽど本能でよろこんでるのか知らないけど……

わたしはもうひと暴れしてくるわ!」


「待ってください!」


「リュリュエル、どうしたの!?」


「あれを見てください!

あちこちに散らばっている黒い光が一体の魔獣にどんどん集まっていきます!」


にくい……こわい……きらい……

いたい……しね……た………けて


「あの魔獣は暗黒フェンリルの子どもじゃない!?

禍々しい闇の奔流がまとわりついて……獣人変化した!

なんだかぶつぶつ言ってるわよ!?」


「あれはなんでしょうエンジェリックア〜〜〜イ!

闇、絶望、憎悪など、魔を感じる意識の集合体から自然発生した……魔王の卵ともいえる存在ではないでしょうか!?」


「ぐるがぅ! がああああああああ!!!」


「切り拓いた林道を一直線に走り出した!

って、砦に向かってるに決まってるよな!

リュリュエル、アイちゃんを頼む!

フィスエル! 倒すぞ!」


「もちろんよ!

相手は子ども並みの大きさになったからって油断しないで!

マオくん、合わせて!」

「自信ないけどがんばる!」

「「拳の二重奏! 拳舞ナックルダンス」」

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