二百六十八羽 ☆ リュリュエル、成果!
「マオ様のことばかり想うあまりついうっかりですわ!
わたくしの魔法は心の影響がどうにも強く出ることがありまして……
恋は乙女を盲目にしてしまうものなのですね!
皆さんもしっかりお護りいたします!
プロテクトサンドシールド!」
「盲目ってマオくんしか見えなすぎ!」
「乙女なお心がたぷたぷゆれてます!」
「おなか〜、いっぱい〜、おやすみ〜」
「リュリュエル! てふてふの様子がおかしいぞ!?」
「ふっわ〜! 黒い糸がくるくると現れて、まゆのようになって浮いちゃってますね!」
「これは……おそらく、なにかしらの進化がはじまるのではと思われますが……」
「アイちゃん、宰相なのに詳しくてすごいね!」
「はい。わたくし、宰相を務めるかたわら、魔の研究に勤しむ魔導賢者ですから!
マオ様、おほめいただきうれしいですわ♡」
「すかさずマオくんに抱きついてる。さすが色ボケ賢者ね」
「色ボケ賢者!? がび〜ん!」
「うわ! せ〜まちゃんがぷんぷんして勝手に!?」
「ぷんぷん怒ってるっていうか、せ〜まちゃんが宙に浮いて、黒い光を斬っていくわよ!」
「黒い光さんも斬られまいと逃げているようですね!
ふわ!? 闇の渦が散って、黒い光といっしょに洞穴の外へと逃げていっちゃいます!」
「せ〜まちゃんがあとを追いかけて行っちゃったわよ!」
「ボクたちも追いかけましょう!」
「マオ様! てふてふ様はどういたしましょう!?」
「もちろん連れてく! 行くぞ!」
「ふぃわわわわわわわわわ〜〜〜!
洞穴から脱出したのはいいですが、黒い光と闇の渦が細かく散って、辺り一帯に広がっちゃってます!」
「なんだか魔属性の気配がすごくない?
これってやばいんじゃないかしら!?」
「そこらじゅうから唸り声が聞こえてくるぞ!」
「魔獣が大量発生しているようです!
普通の樹々も暗黒森林のように属性変化していっちゃいます!」
「なんで!? あの黒い光のせい!?」
「小さな闇の渦をエンジェル虫取り網でゲットですエンジェリックア〜〜〜イ!
どうやら原初たる混沌の力に、負の感情が混じりあった魔があふれて、普通の獣や魔獣たちに影響しているようです!
最恐暗黒魔獣が次々と誕生しちゃいますよ!
憎しみのままに生命を探しては襲う、凶悪なモンスタースタンピードの予感です!」
「そんな! 砦はすぐそばですわ!
せっかく一年もかけて築き上げた民の暮らしが!
わたくし、宰相としてそんなこと絶対に許せませんわ!」
「倒すしかない!
せ〜まちゃん! 戻ってくるんだ!
……来ない!」
「せ〜まちゃんは黒い光を追いかけては斬ってるわね!
エンジェルフィスト!
この魔獣、でかくて硬いわね!
マオくん! この一年、わたしと積み重ねた修行の成果を見せるときよ!」
「ええ!? ほんとに!?
あんなので最恐暗黒魔獣と戦えるの!?」
「カナリコーダイでの戦を思い出して!
剣が使えないときのためにがんばったんでしょ!
わたしと自分を信じなさい!
ダンスが得意なマオくんのために考えた拳法なんだから!」
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