二百二十三羽 ☆ リュリュエル、聖技!

「ここはわたしにまかせて!

マオくんは殿下くんたちの護衛に専念して!

エンジェルリミッター解除を申請!

あれ? ……制限がされてない!? なんで!?

でも、それなら!

フィスエル流、奥義! 天極拳!」


「ボクも戦いますよ!

左腕に隠されし真なる宿りし力!

ヘルヘルヘルファイア!

あれれ? でませんね?

やっぱり、ボクじゃダメです?」


「なんでヤミエルの技!? 余計なことしないで!?」


フィスエルの大活躍と!

ボクの大活躍で!

へんてこ天使を撃退!


「あんたたち上級中級の割に強かったじゃない?

乙女の柔肌にヒビ入れてくれちゃって、もう!

ところでさ、あんたたち本物の血が流れてるわね?

生身の体の天使ってほんとにいるんだ……はじめて見たわ」


「そのヒビ! 床に落ちたボディのかけら!

お前こそ、なんだその体は!」


「なにって? エンジェルオートマタに決まってるじゃない。

魂の器となるニュージェネバイオボディを知らないの?

聞く必要もない天使の常識でしょ。おかしくない?

それはともかく、あんた一人をのぞいて気絶しちゃったわよ?」


「皆さん、仲良く緊縛です!」


「エンジェルオートマタ? ニュージェネ?

興味深いな……だが、そんなものは知らない!

おのれ! なぜ天使が魔族の味方をする!」


「なぜって、あんたたちのやってることがおかしいからよ!

天使が暗殺とか、皆殺しって、どういうことよ!

敵だからって、なんかおかしいでしょ!」


「ボクの敵ではありませんでしたね!」

「あんたポカポカしてただけよね!?」

「だってフィスエル一人だけ戦わせるの嫌だったんです〜!

それに完全攻撃耐性な防御でちゃ〜〜〜んと活躍しましたよ!」


「たまに捕まったりしてたから逆に迷惑よ!?

まあ……水や雷に鉄な属性攻撃とか手こずっちゃってさ。

聖技から体をはってわたしを守ってくれたのは……すっごいうれしかったけどさ。

その……あ、ありがと」


「どういたしまして!」


「……あんたの防御だけど。もしかしてわたしの体術を真似してる?

けっこうさまになってて……その……か、かかか、かっこよかったわよ!」


「ふぃわ!

ほめられちゃいました!

フィスエル、大好き〜〜〜!」


「ひゃわ!? 抱きつかないで!

はう! やだ! ひん!

どこ触ってるのよ!?」


「「いちゃいちゃするのやめない(るのだ)?」」


「は!? いちゃいちゃしてないわ!

ひゃん!」

「「説得力ないけど(のだ)?」」


「そ、そんなことより! 悪役上級天使くん?」

「フィスエル、お顔が怖いです!」


「たっぷり吐いてもらうわよ?」

「くっ!?

俺を無視していちゃつくような者に、誰が口をわるものか!」


「いちゃついてない!

は!? リュリュエル、ニコニコしてないでいいかげん離れて!」

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