二百二十四羽 ☆ リュリュエル、創造!

「はあはあ! おのれ!

まさか、くすぐりの刑で口を割ってしまうとは!?

思い出しても屈辱!」


「痛いよりきついでしょ?

聞き出した話を簡単にまとめるとこうかしら?

いくつかの世界の国家、団体、種族に天使が潜入工作。

元々、ほぼ平和に暮らしていた下界の民、人族や獣族、魔族が対立するよう仕向けて戦を起こす。

この国でも裏であれこれやってたと。

その目的は……神に従属しないものたちを消滅させて理想的な世界を創造すること?

一部の神による独断。

大多数の神は静観。

一部の神が魔神側に離反して対立関係にあると……

そんなバカな話ある!?

ふざけんじゃないわよ! ねえ、リュリュエル!」


「ふぇ?」

「あんたまさか寝てたんじゃないでしょうね?」

「ちゃんと起きてたけど、起きてませんでした!」

「それ、絶対寝てたわよね!?」


「こちょこちょですっごい楽しそうにしてるフィスエルが極悪楽しそうでしたね!」

「そういうとこはしっかり起きてるのね!?」


「俺、よくわかんないんだけどさ。神様が悪さしてるの?」

「わるさ〜」


「やはりなのだ!

以前から起こっている対立は神族の策略によるものだったのだな!

我がカナリコーダイ国と周辺国との争いがなかなか進まないからと、王族を葬って都合よく事態を加速させようとしていたのか!

それでも進まぬ国家間の対立を生み出すために、殿下に罪を全部かぶせて暗殺! 国を乗っ取る計画をしていたのだ!」


「ヨウメ! 僕は、僕は暗殺などされない!

ヨウメと未来を歩みたい!

この国の未来のためにも!」

「殿下! はい……わたしも同じ想いなのだ!

このヨウメ、殿下とともに歩むことを誓いますのだ!

浮かれてしまい申し訳ございません。もう二度とうつつを抜かすようなことなどいたしません!」


「ちょっと待って! さっき、なんて言ったの!?」

「だから、殿下を暗殺して、国を乗っ取ると!」

「その前! この国の名前よ!」

「? カナリコーダイ国なのだ?」


「うそ……こないだの昇級試験、歴史の問題に出てた……

確か、魔族以外を滅ぼそうと世界の滅亡を企てて魔王を発生させた魔族国家!

神話級の……古代に滅びた国の名前じゃない!」


「我が国が世界の滅亡を企てただと!?

バカなことを言うな! なのだ!

わざわざ修羅の道をいくものか!

大体こんな状況でそんなことできないのだ!

その上、滅びたなどと!?」


ゴーン

ゴーン

ゴーン

突如、カナリコーダイ国に鳴り響く、天からの鐘の音!


「神話だの古代だの、なんの話か知らんが、まどろっこしいことはやめだ!

俺はいずれ神になる男! 善の天使グドネエル! 3級だ!

神の采配に逆らうものどもよ、覚悟しろ!

たったいま、ヘブンズウォーベルを要請した!

この国は神の裁きを受けるのだ!」


「ヘブンズウォーベル? 神の裁きって何するつもりよ!

うるさいから気絶してなさい!

エンジェルチョップ!」


「う! がく!」


「神の裁きなのだ?

まさか……外に! バルコニーに出るのだ!」

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