二百六十一羽 ☆ リュリュエル、勢力!

「さっきまでの俺と思うな!

聖技! 具現化する光の器シャインメタリアライズ! 光の双剣!」


扇な拳法とアロマな精神攻撃を光の二刀流でいなして!

フレグエルののどもとに、切先をクロスに突きつける!

ヤミエルのボディと顔にピシリピシリと小さなヒビが!


「拳法には拳法よ!

シューティエルが蹴りの極致! 天蹴脚! からの! 織姫の糸遊び!」


百連脚と連撃旋風脚で扇な拳法を弾き返し!

アロマな精神攻撃を蹴脚の風圧でさばいて!

マシニエルの糸を操る聖技でランスエルを緊縛!


「「勝負あったな(わね)!」」


「「な、なによ! まだ負けてないわ!」」


「動くな! 俺の光は強すぎる!

おとなしく引き下がれば、消滅させるつもりはない!」

「ヤミエル? 必ず倒すという約束は?」


「……シューティエルの技を使ったな?

……やつは……魔王との一件以来、何を聞いても上の空だ。

自らの消滅の危機に思うところでもあったのだろう。

いまはただ、そっとしておくのみ。

いまの俺があるのもまた、自身を見つめ直してのこと。

こいつらとて、いずれ分かる時がくる。

この俺のようにな」


「ヤミエルはやさしいですね……」

「ふ……やさしさか……とうに忘れていた。

それもいいかもしれんな!

くはははははははは!!!」


「「なによ! ヤミエルったら、ずるいのよ!」」

「堕天をなかったことにするなんて!」

「フレグなんか!」

「ランスなんか!」

「天使で悪魔なボディに無理やり魂を押し込められて!」

「どっちとも仲良くなれないし!

ランスは女の子のボディに生まれたかったし!」

「「神様に怒られないようにお仕事をこなすだけの人形だもん!

ずるい! ずるいよ! ふわ~~~ん!!!」」


「なかったことにしたわけではないが。

そうか……貴様らもまた、でたらめ天使のような宿業を背負った者たちか。

香の二人、俺と来い!」


「来いって?」

「そんなこと急に言われてもどうするのよ!?」

「「私たちのボディは管理されてるのよ!」」


「ボディを管理?

なるほど、ボディについては調べてみないとわからんが……俺にはその技術がない。

ボディを解析できる技術者がいるといいのだが」


「ん〜〜〜? 心あたりがあるような?」


「なんだと! それができるのならば!

……いままた、抗えない大きなうねりが起ころうとしているのだ。

人としての生を捨て天使となったものの、世に絶望したまま神を裏切った俺だが……

俺は神でも魔神でもない、新しい勢力を作ることを考えている!

絶望や独善などに支配されないために!

まだ時間がかかるだろうが、きっとなんとかしてくれよう!」


「そんなの!」

「あてになるもんか!」

「いい! 神獣を消滅したのは私たちの手柄!」

「私たちの秘密をしゃべったら許さないから!」

「その代わり、あんたたちのことも内緒にしてあげる!」

「「感謝しなさいよ! 霧の香!」」

「女の子って言ってくれて……ありがと……」


お二人の体が霧のようになって消えていきます!

切なくも甘い香りを残して。


「消えちゃいました……交換条件を信じるしかないですね?」


「く……長く変わりすぎた。

体がもたん……堕天使フォール」


「体が? 堕天から天使に戻ったからですか?」


「堕天にもいろいろあるが、俺は天使の戒めから解放された分、デメリットがな」

「堕天使は級に縛られないと言ってましたが、もしかしなくても堕天してるときの方がよわよわじゃないですか?」


「ふ。強さを求めて生きることに意味を見出しているのではない。

結局、曲げてはいるが、生き様にこそ俺の信念がある!」


「そうなんですね?

どっちにしても消滅しないでよかったです!

エンジェ〜〜〜ルリペア!

ニュージェネボディの修復を早めてますが時間がかかりますよ?

絆創膏も貼っておきます。

しばらくおとなしくしてくださいね?」


「ヒビが修復されていく!

貴様、なんでもありだな!?

だが、感謝しよう。

しかし、この世界は神獣の一柱を失ってしまった。

崩壊につながらなければいいのだが……」

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