二百六十羽 ☆ リュリュエル、ほっぺ!

「「まずは一人〜♪ 消滅決定〜♪」」


「ヤミエルの魂とボディにずれが……存在力がもう……。

魂をかけてワタシを守ってくれたんですね?」


「ふ……気にするな。いずれ誰しも消滅するもの。

このまま闇と朽ちるのも定められた運命」


「「な〜に〜? お涙ちょうだいでもしたいの〜? ウケる♪」」


「ヤミエル……幾多の世界を救世するためにその身と心を捧げた元勇者。

天使となって世界につくしながら、封印された記憶に惑う日々。

友に愛に世界に、すべてに裏切られた真実を知って闇に堕ちた哀れな末路……」


「ふ。俺の過去か……知らんなどと言っていたくせに。

貴様にくらべればなんとくだらん」


「このままワタシをお姫様抱っこしていてくださいね?

離しちゃダメですよ?

ダークネス……」


「!!!???

な、なにをする気だ!?

まさか、攻撃!?」


「エンジェ〜〜〜ルギフチュ♡」


ぷに♪


「な、ななな!? なにをした!?」


「ほっぺにちゅ〜ですよ?

もしかしてちゅ〜は、おきらいです?」


「くっ!? おきらい!?

その恥じらいの笑みは!?

俺を見つめるその謎めいた瞳!?

か、かわいいがすぎる!

これは!? やはり貴様、俺のことを!?

く……くははははははははは!!!

貴様の想い! たしかに受けとった!

こうなれば消滅なぞするものか!

我が心を無様な闇で縛るのはやめだ!」


「ヤミエル? なにをするつもりです?」


「友よ!

い、いや、もう友ではなくもしや!?

ま、まあいい!

いまこそ俺の秘密を明かしてやろう!

光あるところに漆黒の闇あり!

それが俺だ!

だがしかし!

深淵なる闇を生むのもまた光!

我が魂よ! 天高く光の昇華あれ!」


ヤミエルの漆黒の瞳がきらめいて輝く!

光り輝く輪と羽!

白より白く染まる髪と衣!

魂が聖力に満ちあふれて、都合よくダメージがなかったことになってます!


「闇の堕天使あらため!

光の天使ヤミエル! 極級だ!

ふ! まさか、この姿に戻ることがあろうとは……

知られていることとはいえ、ばつが悪いな」


「知りませんでした!」

「ぶふっ!? 知らんかったんかい!?」


「なにそれウケる!」

「堕天使が光堕ち!?」

「「かっこわる!」」


「じゃかましい! かっこ悪くて悪かったな!

ポテチ食べながら、くつろいでる!?

空中で寝転がって、目が死んでる!?

休日なのに仕事疲れで、動画を眺めてるだけのやる気のない、おつかれ社員か!?」


「「え〜。だってさっきからふたりでさ〜。

なんかやっすい海外ドラマ見てる感じ〜?」」


「安くて悪かったな!? とあるニポーンに毒されすぎじゃないか!?」


「もしかしてヤミエルも見ちゃってるんです?」

「む……たまに」

「素直! 目をそらして、やっぱりヤミエルはかわいいですね!」

「かわ!? ふ……」


「ふわ! せっかく回復した魂が抜け出ちゃいます!

押し戻しますよ! ダークネスエンジェルよいしょ!」


「ねえ、フレグ?」

「なに、ランス?」

「なんだか」

「とっても」

「「腹が立ってきた! こいつら殺す!」」


扇の舞を披露しながら、ワタシとヤミエルに迫る二人!

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