二百五十九羽 ☆ リュリュエル、吐息!

「「ていうか、お肌がすべすべリラックスになってる!? なんで!?」」 


「なんだか竜巻に洗われてきれいになっちゃいました!

ですが、なんともないことはなかったです!

衣がぎりぎりビリビリですぅ〜、えっち!」


「ぶふっ!? えっち!?

くっ!? 俺は違う意味でやばいがすぎる!

貴様ら三人! 女子なら少しは慎みをだな!」


「「「えっち〜!!!」」」


「くっ!? 女三人、肩を並べてなにを言う!?」


「……私のこと女の子だと思ってくれるんだ……」

「ランス、よかったね♪」


「心は女子なのだろう?

ならば女子!

しかも、かわいいがすぎるではないか!」


ランス妹様、お口をむにむに、お顔が照れ照れ真っ赤っか!


「しかし、でたらめまで敵に回るとは!?

我が友ではなかったか!?」


「ふぃわ!? 友だちですよ!

ヤミエルはぼろぼろ。ボクはびりびり。

ボクはともかく、このままではヤミエルが危ないですね?

いっそのこと逃げちゃいます?」


「神獣ではなくなったとしても、アホを放ってはおけん!」


「なにを相談してるのかな〜?」

「相談ならいくらしてもいいけど♪」

「「逃がさないに決まってるよね♪」」


「ん〜〜〜? どうしましょう?

ボクはポカポカ攻撃しかできないですし〜」


「ふ……我ながら情けない。

友よ……力を貸してほしい。

乱れきった聖王国の王家に生まれながらにして、奇蹟を望まれた聖人としての呪われた宿命。

歪んだ愛情に救いを得られず、理不尽な蛮行の限りをつくされ、崇められ、虐げられ、世界と人の業を背負った双子の生い立ち」


「…………」


「貴様らの前世……なぜいまのようになったのか、秘密はとうに知っている。

魔の使い、いや、魔と闇の福音を受けし逃亡者、闇天使リュエル。

俺に遠慮をすることはない。

存分に力を貸してもらえはしないだろうか?」


「……そうでしたね。

ヤミエルとは二度もリンクを……隠し事は意味がないです。

ですが、生まれたというのは少し違いますよ?

(リュリュ、話しをさせて)

……は〜い。

ワタシたちにとって秘密を知られるのはリスク。

必ず倒すのが条件よ」


「……もちろんだ」


「ほかの皆さんにも必ず秘密にしてください。

リュリュ、交代するわよ。

ダークネスエンジェル!」


ぶわっ!


右眼からあふれ出て黒く輝く闇!

左眼にも右眼と同じ輝き!

変形する羽。漆黒の闇に染まる天使の輪と羽に衣!

潮風になびくシルバーブロンド!


「ふ……闇が美しい。

我が漆黒よりも濃い闇の姿か……」


「闇天使だかなんだか知らないけど!」

「ぶつぶつ言ってる間に準備万端!」

「二人まとめて消滅するといいわ!」

「「最大奥義♪」」

「香がいざなう死の誘惑♪」

「風に香り舞う死の狂嵐♪」

「「デスパッフュ〜ムヘルスト〜ム♪」」


二人から吐き出された吐息が、扇にあおられて渦を巻く!

扇から繰り出される暴風、死を感じる香りな大嵐!


「どんな攻撃も愛のメロメロで腰砕け!

エンジェルラブラブラブリンシャきゃあああああああ!?」

「いかん! フォーリンエンジェルウイングシールド!」


ヤミエルの翼がぐぐんと大きくなってワタシを包みこむ!

次第におさまる死の香り!



「「な〜んだ! 消滅してないじゃない!」」


「ふ……精神系の耐性はあるつもりだ。

しかし、片羽がだいぶ散って輪にヒビが……」

「ヤミエル!? ぼろぼろのズタボロです!?」


「大丈夫か? リュエル」

「は、はい……あ、あの……は、恥ずかしいです……」


「顔を真っ赤にしおって!

くは!

さっきの仕返しだ!

お姫様抱っこの味はどうだ!

どうだ! 恥ずかしかろう!?」


「……うれしいです……」


「ぶふっ!? なんだその憂いのある瞳は!?

く、くちびるがなまめかしい!?

ほ、ほほを染めるな!

む、いかんな……ひびが……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る