二百四十五羽 ☆ リュリュエル、大暴れ!

「へへ〜。

でもそうだなあ。

ミーノの宝って、言いたいところだけど……ミーノが求めていたものと、なんか違うんだよね。

金貨のベッドはうずうずするけど、おじいちゃんはもっと違う大事なものをミーノに残してくれてると思うんだ。

もっとこう……心があったかくなるような!

別にお金がいっぱいほしい訳じゃないし、シーバにあげるよ。

じゃないと王様に怒られちゃうでしょ?

あ! でもちょっとだけちょうだい!

お世話になってる街のみんなに少しづつ配るから!」

「きゅっきゅきゅう!」


「ほんとじゃないかい!?

わたしのミーノ!

あんたはなんていい子なんじゃないかい!

惚れ直しちゃうんじゃないかい!?」


「抱きつくな!

まさぐるな!

リュリュエルもラメールも手をわきわきするな!

その代わり、デートをあわあわもなしだからね!」

「きゅう!」


「え〜! だったらデートとあわあわがいいんじゃないかい!」

「シーバ、それ本気で言ってる!?」

「きゅわ!?」


「100%本気じゃないかい!

でも、そういう訳にもいかないじゃないかい……シクシク。

ありがたくもらっておくとするじゃないかい。

でもねえ、海の覇者になれる伝説の宝っていうのとは違う気がするじゃないかい?

いつの時代かわからない古そうなものばっかりだし?

それにしても、わたしのミーノはあわあわのダイビングスーツがないっていうのに普通にしてるねえ。

一体どういうことじゃないかい?」


「ミーノもわかんない。ミーノって足のある人魚なのかな?

もしかしてマーメイドなお姫様だったり!?」


「ふ〜ん。わかんないんだねえ……」




「みんな! こっちだ! ここに隠れるんだ!」


突如、泳いでくる大勢の人魚の皆さん!


「あれぇ!? 村のみんながどうしてここにぃ!?

血相変えてどうしたのぉ!?」


「ラメールか!

うお!? めちゃくちゃ壁に穴が!?

もしかしてこっちにも来たのか!?」


「どういうことぉ?」


「村が! 牧場が! 大変なんだ!

テンテンの群れが大暴れしてる!」


「ええぇ!? さっきのやつらかなぁ!?」


「ここはスキルをもらった新生ミーノの出番ね!

人魚のみんな!

このわたし! 海賊船船長のミーノにまかせない!

みんなの平和をおびやかす危険は、このミーノ船長が略奪してあげるわ!」

「きゅう!」



というわけで!

船乗り幽霊さんたちも引き連れて、海底神殿から出てみると!


「うわっほう!

怒り狂ったテンテンの集団が好き勝手、暴れまくってます!

牧場でゆったりのんびりしていた、海のモンスターたちもあわてて逃げ泳いでますよ!」


「とんでもない数じゃないかい!

その上、やたらとでかいのがいるんじゃないかい!?」


「どうやらテンテンのボスでしょうか!

言うなれば、キングテンテン!

幽霊さんたちがテンテンたちを攻撃してますが、スカスカすり抜けてますね!」


「なんなのあの幽霊!?

怖いからどっか行ってほしいのに!

それはともかく!

こんなひどい大暴れはミーノが略奪してあげる!

このわたし! ミーノ船長におとなしく奪われなさい!」

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