二百三十九羽 ☆ リュリュエル、覇者!
「さてと!
宝の地図にあった伝説の怪物が生息する海域から導いた場所はこの島よ!
ね、オルカ!」
「きゅ〜!」
「ほんとにここです?」
「絶対!」
「ボクがくるくる一人立てるくらいの小さな島ですね?
まわりは見渡すかぎり海ですよ?」
「あっはっはっはっは!
こいつはいいじゃないかい!
島っていうか、フジツボびっしりな突起!
大海賊だったミーノのじいさんが残した宝の地図はあてにならないねえ!
この海に眠る宝が見つかるのはいつのことだか!」
「うるさいなあ!
ミーノのおじいちゃんのこと悪く言わないで!
全然、覚えてないけど!
それに、なんでシーバがミーノの海賊船に乗ったままなのよ!
リュリュエルもシーバも密着しすぎ!
ミーノの体を触りすぎ!
三人じゃ、せまいのよ!」
「役得♡ しあわせ♡ やわらかい♡」
「ぷにぷに、ふわふわですぅ」
バッチャン!
ボッチャン!
「叩き落とすぞ、こら!」
「もう、叩き落とされてるじゃないかい!?」
「ボクまで海の中! ひどいですぅ〜〜〜!」
「だったら触るな!!!」
「きゅっきゅっきゅっ!」
「なんとかここまで来たけど、軍艦がぼろぼろで浮いてるだけで精一杯だからに決まってるじゃないかい!?
笑うしかないじゃないかい!? シクシク。
航行できる軍艦に、泡で作ったバブルボートに乗組員を乗せてなんとか帰らせたし!」
「泡でボートなんてすごいね!
シーバもいっしょに帰ればよかったのに!
「ミーノが冷たい!
シーバが残ったのは、もちろん、お宝探しが任務だからに決まってるじゃないかい!
海の覇者になれるかもしれないっていう伝説のお宝!
王様が早く見つけろって、はりきってるのよ!
でも艦隊はぼろぼろじゃないかい!
なんとしてでも宝を手に入れないと司令官クビじゃないかい!?」
「ところで、大海賊なおじいさまなんです?」
「そうみたい。シーバが言うにはね。
ミーノは大海賊だったミジウノ・ハシャウにひろわれて育てられたらしいわ。
でも、大嵐で難破して海賊団は壊滅。ミーノだけ助かったらしいの。
だからだと思うんだけどね!
ミーノは海賊になりたいの! ていうか! ミーノは海賊船の船長よ!
それでね! ミーノが漂流していたときに持っていた地図で、おじいちゃんのお宝を探しているのよ!」
「いつになったら見つかることやら。
その前にデートの約束、忘れちゃいやじゃないかい♡」
「なんのこと? ミーノは覚えてませ〜〜〜ん!」
「ふわお! なんだか親近感です!」
「忘れたって、それで押し切る気?
わたしのミーノってば、ひどいじゃないかい!?」
「ひどくない!
わたしのじゃない!
びしょびしょで抱きつくな!
ちゅ〜しようとするな!
殴るわよ!?」
「痛い! もう殴ってるじゃないかい!?
暴力反対!」
「セクハラ反対!
言ってるそばから手を伸ばすな!
いいかげんにせんか! ごらあ!!!」
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