二百三十七羽 ☆ リュリュエル、褒美!

「そうね〜……今度、わたしと夜のデートをしてくれたらいいんじゃないかい♡」


「はあ!? 色ボケ女がしなしなとしなを作るな!

そんな交換条件いいわけないでしょ!?

なんでミーノがシーバとデートしなきゃいけないのよ!」


「そりゃあ、ミーノにあんなことやこんなことをしたいからじゃないかい♡」

「絶対いや! もっと殴られたいの!」


「もう10発は殴られてるし!

漂流してたミーノを助けてあげた特別な仲じゃないかい!

こんな伝説級のイカと勝負しようなんてご褒美がないと、やる気が起きません!

ほら、そんなこと言ってる間に、大事な相棒が狙われてるんじゃないかい?」


「きゅ!?」


「オルカ、逃げて!

ミーノには戦う力なんてないし!

わかった! わかったわよ!

デートでもなんでもするから、早く〜〜〜!」


「やったじゃないかい!

魔法兵は風魔法で帆をコントロール!

艦隊陣形を常に保て!

砲撃手! 放てえ〜〜〜!」


ドン! ドン! ドドン!

ドン! ドドドン!


「テンテンのイカ肉が砲弾の嵐をボヨンと弾き返します!

弾力があっておいしそう!」


「ありゃ〜! やっぱり無理だよ、ミーノ!」

「王国自慢の無敵艦隊はどうしたのよ!?」


「そんなこと言われてもじゃないかい?」


「ふぃわ!? テンテンが10本の武器、テンウェポンで軍艦を攻撃してきますよ!」


「シーバ! 艦隊がやられちゃうよ!?

早く逃げなさいよ!」


「心配してくれるのかい?

わたしのミーノ! シーバうれしい!」


「あんたの心配じゃない! 軍人さんたちが大変でしょ!?」


「わたし、さみしいじゃないかい!?

逃げろと言ってもね?

いくら風魔法があるからって、大型帆船がそんなに素早く動けるわけないじゃないかい?

戦闘員は抜剣! 炎魔法をお見舞いしてやれ!

絶対にテンテンの攻撃を喰らうな!

イカの足を切り刻んで、イカ焼きにしてしまえ!

あいつを食っちまうよ!」


ガレオン船に巻き巻きとりつくテンテン!

巨大な武器にひるまず戦う海軍の皆さん!


ドッカン!

バッキン!


テンテンのテンウェポンがガレオン船を傷めていくと思ったら!


「ふぃわわわ!?

うっかり近づいたオルミーノ号が触腕に狙われてます!

ボクが囮に!

あっさりイカゲソにつかまっちゃいました!

ぬるぬるで吸いつく吸盤がいやんな感じですぅ〜〜〜!」


「リュリュエル! みんな!

ミーノにもっと力があれば、あんなやつ!

シーバ! なんとかしなさいよ!」


「なんともできないじゃないかい!?」


「ここはボクの出番です!

エンジェ〜〜〜ルギフト!

ぬるっとイカのお口に運ばれて、ガリガリかじられちゃってますぅ〜〜〜!!!」


シーバ司令官に降り注ぐ光のシャワー!


「こいつが神族のギフトかい? ふ〜ん」


「あれれ? なんだか変な手応えです?

ん〜〜〜? 頭にスキル名が浮かんでいるはず!

テンテンをやっつけちゃってください!」

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