二百三十五羽 ☆ リュリュエル、宝!

「ミーノ船長はとっても働き者なんですね!」


「働き者じゃないから!

海賊の当然の行為じゃない!

さすが海賊船の船長でしょ!」


「なんでそんなに海賊がいいんです?」


「あんまり良くは覚えてないけど、ミーノのお……

って、そんなこと言ってる場合じゃない!

時間がなくなっちゃう!

オルカ!」


「きゅ〜!」


「ふわ!

舟のへさきからロープでつながる輪っかにオルカくんがスポッと!

勢いよく泳ぎだしました!」


オルカくんに引っ張られて、がくんと猛スピードで発進するヨットな海賊船!


「きゅ〜!」

「よし! 飛ぶよ!」


「ふぃわ!?

ミーノ船長が次々ロープを操作すると帆が大きく広がって!

オルカくんが、潮の波をかき分けて、しぶきをあげて!

いっぱいの風を帆に受けて、まるでグライダーのように離水!

オルカくんとつながるロープがどんどん伸びて、空高く飛んじゃってます!」


「すごいでしょ!

いろいろ忘れてるミーノだけど、海賊船オルミーノ号の操作は体で覚えてたのよね!」


「オルミーノですか?」

「そ! オルカとミーノの名前!」


「空を飛んで何をするんです?」

「それはね!」


「わたしのミーノ! 目的のブツは見つかったんじゃないかい!?」


「突然、誰です!?」


「うぇ! この声はシーバ!

いつからミーノはシーバのものになったのよ!」

「生まれる前からに決まってるじゃないかい♡」

「思い込みが怖いわ!」


「うっわ〜おぅ!

とっても大きいお船が三隻も!

他にも中くらいのや小さいのと立派な船団です!

大砲もいっぱい!

あの船はなんですか?

なんだかえらそうな人がミーノ様に手をふってますよ?」


「あの大きな帆船はガレオン船ていうの。王国が誇る最新鋭艦なんだけどね。

は〜……あの女は王立海軍艦隊司令官、シーバ・ブルキール中将よ」


「ふわ! 艦隊司令官! かっこいい!

あのお方にもボクの勇者様になってほしいですぅ〜!」


「勇者って、あいつ色ボケ女よ!?

それに、ミーノの宝探しにいつもちょっかいかけて、邪魔してくるんだから!」


「宝探し! なんだかドキドキぷにぷに胸熱です!

もしかして宝の地図があったりするんですか!」


「ふふ〜ん! もちろんよ!

今はね、おじいちゃんの宝の地図に記された、伝説の怪物がいるっていう海域を上空から探してるの!」

「ふぅわ! 伝説の怪物!

ボクも宝探しがしたいです!

お手伝いしてもいいですか!?」


「ほんとに!?

じゃあ、海賊ミーノ船長の手下になりなさい!」


「はい! ボク、海賊になっちゃいます!

海賊なボク! かっこいい!

ということは衣替えが必要ですね!

全なる父よ! 海賊な衣を与えたまえ!

いやっほう! 海賊帽子にサーベルがかっこいい!

すらっとやっぱり竹光です!」

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