二百三十四羽 ☆ リュリュエル、海賊!
「なんでミーノの名前がわかるのよ!?
そうなの! ミーノはね……一年くらい前の嵐の日にね。軍港近くの湾に漂流してたんだけどね。
どうしてそうなったか、名前以外はほとんど覚えてないの!
ところでキミはどこの誰?」
「ボクは10級見習い天使のリュリュエルで〜〜〜す!
ミーノ様! ボクの勇者様になってください!」
「天使がなんで海のど真ん中に浮いてたの!?
勇者ってなんのことか分からないけど、勇者なんていやよ!
ミーノはね! この海賊船の船長なのよ!」
「ふぇわ? これが海賊船ですか?
とっても小さいヨットですよね?」
「小さくても海賊船なの!
これ見なさいよ! 海賊帽子に眼帯に海賊ファッション!
帆に描いてあるのはミーノの海賊マークよ!」
「おっぱいたぷんでミニスカートがかわいいです!
海賊なのにドクロじゃないんです?
なんだかハートで可愛いらしいマークですね!
眼帯って、穴が空いてておめめが丸見えですよ?」
「おっぱいたぷんってえっちね!
だって、片目じゃ見づらいし、ドクロは怖いから嫌いだもん!
それにね!
今日だっていっぱい略奪したのよ!」
「略奪ですか?」
「そうよ! 朝から略奪ざんまいよ!」
〜海賊船長なミーノ様の略奪行為
朝陽がそろそろ照らすころ、屋根裏部屋の木戸をばたんと開ける寝巻き姿のミーノ様!
「ふふん! 今日も晴天! とっても略奪日和ね!
海賊帽子に眼帯! さっそく着替えて出発よ!」
・その一
「グミグミぶどうの収穫を奪いに来たわ!
このわたし! ミーノ船長におとなしく奪われなさい!」
農家「ああ!? 海賊がなんてことしやがる!」
・その二
「それ、重くない!? その荷物、奪うわね!
このわたし! ミーノ船長におとなしく奪われなさい!」
商人「おいおい! 大事な商品になんてことするんだ!」
・その三
「今日の炊き出しも腕を振るって奪うわよ!
このわたし! ミーノ船長におとなしく奪われなさい!」
教会司祭「なんと傍若無人な!? 海賊は恐ろしい!」
〜実際の証言
・その一
農家「朝早くからいつも助かるんだが、ああでも言わねぇと泣いてへそ曲げるからな」
・その二
商人「あれだけ器量よしな上に、いつも気が利いて偉いもんだ。あの性格さえなけりゃあ」
・その三
教会司祭「なぜ、海賊などにあれほどの情熱を燃やすのか……。無償の施しに感謝を。彼女の行いに皆がよろこんでおります!」
「朝からいい汗かいて、いっぱい略奪したわ!」
「それって略奪です?」
「そうよ! グミグミぶどうの収穫や重たい荷物運びに炊き出し料理!
みんなの労働を略奪したのよ!」
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